07
 
「ではあちらの大型リフトへ」

ハンニャバルさんについて行きながら獄内をキョロキョロと見渡す。生で見るのと本で見るのとじゃ全く迫力が違うなぁ。

身体検査は本来外から来た者であれば受けなければいけないらしいが私は天竜人ということでチェックは必要ないらしい。まさに至れり尽くせりだ。天竜人万歳。

「このリフトを使って地下4階 監獄署長マゼランのいる焦熱フロアへ到達スマッシュ 少々お暑いのでそのおつもりで」

「わかりました」

「途中LEVEL1から3を通過する際囚人達の悲鳴が心地よく響いて来ますのでぜひお楽しみ下さい」

なっ、え、悲鳴!?悲鳴が心地よくとか、お楽しみ下さいとか…!情報量が多すぎる。全く、失望したよハンニャバル!もうコイツにさん付けなんてしないぞ。悲鳴なんか聞いて楽しめるわけがない!むしろ聞きたくない、そんな身の毛もよだつ悲鳴なんて。

「クザン、私悲鳴を聞きたくないんですの どうしたらいいかしら」

「悲鳴?あー。んじゃちょっとこっち来なさいや」

「?来ましたわ」

ちょいちょいと手招くクザンに近寄るとクザンはその大きな両手で私の両耳を塞いだ。おお、凄い!手を添えただけなのになにも聞こえないぞ。クザンにお礼を言わなくては。

「クザン、ありがとうございまし!おかげでなにも聞こえませんわ」

「どういたしまして。しかしまァ…本当に君あの天竜人か疑いたくなるわ」

「?ごめんなさい、今何も聞こえませんの」

「そういやそうだった」

一瞬パッと手を離したクザンのせいでハンニャバルの言う通り囚人達の悲鳴が聞こえてきた。全然心地よくない!怖いぃ!!悲鳴を聞くだけで私が痛い!気持ち的に!!!

「ク、クザン!!いきなり手を離すなんて酷いですわ お陰で悲鳴が…っうう」

「あらら、こりゃ失敬」

そう言うとクザンは悪びれもなく再び私の両耳を塞いだ。囚人の悲鳴はおろか何も聞こえなくなった私はほっと一息つくと今度は絶対に外させないようにクザンの手の上から私の手を重ねた。またいつパッと外すか分かったもんじゃない!

「……」

「青雉〜不純異性交遊はやめなよォ 相手は仮にも天竜人だからねェ」

「いや確かに可愛いとは思うけどそりゃねェから 何歳下だと思ってんのよ」

「だといいけどねェ〜」

「ロリコンの趣味は今のところねェから あ、もし幼女に目覚めちゃったらよろしく頼むわ」

「それは勘弁してほしいね〜」

クザンと黄猿さんが私を見ながらぺちゃくちゃと話し込んでいる。むむむ!一体何を話しているんだ…気になる!!

だが気になるとは思いはしたものの、囚人の悲鳴を聞くわけにもいかず私はマゼランのいる階までクザンに耳を塞いでいてもらった。

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