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「ん…」
朝。昨夜竜宮城にて大規模な宴を楽しんだ白ひげ海賊団一行は騒ぎ疲れて宴会の間で雑魚寝状態のまま夢の世界を旅している最中だった。
そんな中、寝苦しさにぼんやりと目を覚ましたエレナは寝起きでぼやける視界の中ゴシゴシと目をこすり辺りを見渡した。
まず視界に飛び込んできたのはとても大きな魚人島の王女 しらほし。エレナの隣ですやすやと気持ち良さそうに眠っている様子に思わず笑みが溢れる。
エレナは初めてできた女の子の友達、しらほしを暫く見つめて嬉しさに口元を緩め余韻に浸っていた。
そうしてひとしきり満足して起き上がろうとしたエレナはふと視界に映る腕のようなものを見てピシッと固まった。
腕のようなものではない。これは腕だ。腕が後ろから伸びて抱きしめられているような格好になっている。まだ少し寝ぼけ眼だった視界がパッとクリアになり、ゆっくりとエレナはその腕の持ち主を振り返った。
「……っ!?!?」
「ぐがーっぐがーっ」
薄々感づいてはいたがそこにいたのはやはりエースで。だからずっとポカポカと暖かかったのかなんて考えは遠く彼方へ、あまりの密着度に思考がパンクしたエレナは真っ赤になりながらパクパクと口を金魚のように動かしている。
プシューと頭から湯気が出る寸前、扉が開き常に眠たげな目のマルコが入ってきた。
救世主を見つけたとばかりにエレナの目がマルコをとらえた。
「マ、マルッ!マルコッ…!」
「ん?おうエレナ 起きたのかよい」
「あ、あの!これ、エース!」
「ああ そういうことかよい」
赤くなったエレナをみてすぐ様事態を察し、マルコはいびきをかいて寝ているエースの背中を蹴った。
「いって!誰だ今蹴ったの!」
「おれだよい セクハラ野郎」
「マルコ!!…ってセクハラ野郎?」
マルコの言葉に首を傾げるエースだったが、腕の中にある重みに気づき彼は目を見開いてその場から飛び退いた。
「うわっ!すまんエレナ!」
「は、はい」
「悪気はねェんだ!確かに抱き心地のいい枕だとは思ったがそれ以上は何も!」
「わ、わかってますわ!エースがわたくしの事を好きだなんてありえない事ですもの。ちょっと驚いてしまっただけですから」
「あ…いや…」
「マルコ 少しお散歩に付き合ってくださいませ」
「わかったよい」
「!ならおれも」
「エースは来ないで下さいまし。マルコとお話があるんですの」
まさかの拒絶にエースは言葉をなくした。エレナはそんなエースを見ないようにしてマルコと共に宴会の間を後にするのだった。