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「さ、最悪ですわ…」
エースに謝ろうと意気込んだはいいがあれから探しても探してもエースが見つからない。まさか避けられてるなんて事は…ないと思いたい。そんな事を思っていた時だ。
「とてもお暗い顔…どうされたのですか?」
「しらほし!」
突然後ろの方から私の顔を覗き込むようにしてしらほしが現れたのだ。
「はい 何かお困りですか?わたくしに出来ることがありましたらなんでもおっしゃって下さいませ」
ニコッとそれはそれは可愛らしい笑顔を浮かべるしらほしに心がジーンと温かくなる。なんていい子なんだろうか。私はお言葉に甘えて事の成り行きをしらほしに話した。
「エレナ様はエース様の事がとてもお好きでいらっしゃるのですね」
「そうなんですの!…なのにわたくしったらエースに八つ当たりをしてしまって…謝りたいのにどこを探しても見つからなくて」
「それならわたくしがお魚の皆様にお聞きしてエース様の居場所をお探しいたします!」
「へ?い、いいんですの!?」
「はい エレナ様はわたくしの大切なお友達ですから」
…!!本当にどんな風に育てればしらほしみたいないい子が生まれるのだろうか。しらほしがいい子すぎて涙が出そうだよまったく…!
早速エースの居場所を魚に聞いてくれているしらほしを見つめながら私はこの出会いに改めて感謝した。
「エース様の居場所がお分かりになりました!この子が案内をして下さるそうなのでついて行ってあげて下さいませ」
「あ、ありがとうございますわしらほし!」
「はい!行ってらっしゃいませ」
しらほしにお礼を言ってから案内役の魚に着いて行く。水がないところでも泳げるようにシャボン玉みたいなのが魚の体にくっついてるけど…息とか大丈夫なの?魚って確かエラ呼吸じゃ…。
でも魚本人が平気そうだしいいか。こっちの世界の魚がエラ呼吸でも何呼吸でも今はどうでもいい。とにかくエースだ。
いやしかしなんて謝ればいいんだろう。酷い言い方してごめんなさい?イライラして八つ当たりしちゃってごめなさい…?
「あー!もうなんて謝るかはエースの顔を見てから決めますわ!」
取り繕った言葉じゃなくエースの顔を見て素直に思った事を口にするんだ。
竜宮城内を魚に案内してもらいながら走っていると案内役の魚が曲がり角で急停止した。
「あ…!エースですわ!」
じっとある一点を見つめているエースがそこにいた。私は案内してくれた魚にお礼を言ってから大きく息を吸ってーー
「エース!!!」
「…エレナ」
驚いた顔のエースに構う事なく私は走る。大好きなエースのもとまで。
目の前まで走り寄ればエースは少し驚きながらも両腕を広げて私を抱きとめてくれた。
いきなり走っては抱きついてくる私に驚いてる顔も、私を包み込んでくれる逞しい腕も、陽だまりのような温かい体温も。やっぱり全てが大好きだ。
例えこの先エースが私と同じ意味で私を好きになってくれる望みがなくても、私はそれでもずっとエースの側にいるんだろうなと思う。
私は一旦ゆっくりとエースから人一人分程離れると意を決して口を開いた。