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「10秒前ね…!あら エレナ あなたすごい汗!大丈夫?」

「え、ええ…」

大丈夫なわけがないんだよなあ…。ベビーちゃんが最終チェックで私の髪とか服のヨレとかを直してくれてるんだけどもう気分は死刑を言い渡された囚人そのもの。

最初から無理ゲーだったんだよ!だって断ったらあのモフピンクエースに何かする気満々だし。

はい、と言う以外に私に選択肢はあっただろうか。

「オイ小娘 始まるぞ」

セニョールの言葉にハッと我に帰る。ぎゃ!中継始まっちゃった!!

え、待って…これってまず自己紹介からだよね?

「は、初めまして。わたくしはエレナと申します…あの、えっと…天竜人をやらせてもらっていますわ」

ふあ!初っ端からやらかしおった〜。天竜人をやらせてもらっていますわとかマジなに言っちゃってんの私。こんな謙虚な天竜人がどこにいる。

いやでも私悪くないよ?だってフッフッフッ!演説しろ!なんて言われてからまだ2時間しか経ってないもん。そんな短時間で心の準備+演説内容暗記なんてできるわけないじゃんまじフラミンゴクソ。

とりあえずマリージョアからここまでの経緯を話して、私はエースに攫われたのではないと訂正しておいた。
どっちにしろエースは海賊だから追われるのは勿論なんだけど天竜人攫いのレッテルはこれで晴れると思うから少しは追っ手の勢いがマシになるんじゃないかな。

「突然姿を消してしまって申し訳ありません。でももう大丈夫ですわ」

一見この言葉は親に向けての言葉に聞こえるだろう。だがちがう。これはエースに向けての言葉だ。ええっと、次は…なんて考えて少し停止していると電伝虫の後ろからグラディウスが大きい画用紙を持ってそれを指差した。

…カンペか!ふむ なるほど。そこに書いてあるのを読めって事だな。しかしグラディウスパイセンまさかのADに笑いそうになるんだけど。いやうそ。今の私の状況笑えんわ。

「わたくしエレナは本日よりドンキホーテファミリーの一員となります」

そのまま画用紙に書かれた言葉を読む。いやー言葉にしてみるとマジで違和感。本当白ひげ海賊団のみんながこれ見てたらどうしてこうなった?て思うだろうねぇ。

お?またカンペが出てきた。なになに…?

「ですので捜索は打ち切って下さって構いません」

え。いや…まあ打ち切っていいんだけどさ。…うん。

ってまたカンペ!!どんだけ用意してんのパイセン!?

「お父様、お母様 私はドンキホーテファミリーの皆さんと楽しく過ごしておりますので心配しないで下さい。ーー以上で話を終わります ご清聴ありがとうございました」

私がそう言い切ったと同時にプツッという音がして私を映していた電伝虫が目を閉じた。いや、寝てるのか…?

しかしよくよく考えたら私電伝虫に向かって演説してたんじゃんウケる。

「フフフフフフ よくやった。これでお前は正式におれ達の家族だ…!」

「ウハハハハ!これで脱走グセが直りゃいいがな」

「べへへ〜そりゃそうだ!弱っちいクセにすぐ逃げたがるもんなァ〜!」

ディアマンテとトレーボルが笑いながらバカにしてくる。いや本当こいつらウゼェ。
そもそも監視付いててもう脱走すらできないしな。

ていうかこいつら会うたび会うたび毎回煽ってくるんだけどなに?もしかして私のこと好きなの?だから好きな子はついいじめたくなっちゃうみたいなあれなの?

「フフフ…!エレナ 改めてお前をドンキホーテファミリーへ歓迎しよう」

モフピンクが体を揺らしながら笑う。いや本当歓迎しなくて結構なので。この私の嫌そうな顔が分からないか?え?

嫌よ嫌よも好きのうちとかないからな?嫌なもんは嫌だ。

……拝啓未来の海賊王様。あなたは一体いつ頃ドレスローザに来るのでしょうか?私は一刻も早くここから抜け出したいと思っておりますのでどうかお早くこちらに来てください。エレナより。

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