02
 
「んん〜!!いい匂い!」

愛と情熱とオモチャの国・ドレスローザ。現国王ドフラミンゴが治めるこの国に到着したエレナとエースの二人は早速港町に出向いていた。


「エレナ!こっちのメシ屋入ろう!ウマそうな匂いがする」

「ええ わたくしもちょうどお腹が空いていましたの!入って沢山食べますわよ〜!」

「おう いっぱい食え!」

レストランに入った二人は早速注文を済ませた。初めてドレスローザに上陸したエレナは辺りを物珍しげに見渡しながら口を開いた。

「エース、エース この国は確か妖精がいるんですのよね!」

「妖精?ああ、確かそんな言い伝えがあったような…」

エレナの問いかけにエースがそう答えると突然二人はサルのような形のオモチャに声をかけられた。

「え〜〜っこの国では妖精の伝説が今でも信じられているとかいないとかーーつまり妖精が出るとか出ないとか!!」

「?なんだそれ 出るのか出ないのかハッキリしろよ」

「おサルさんは妖精を見たことがあるんですの?」

「実際に妖精そのものは見たことはないが妖精に物を盗られたオモチャや人間なら見たとか見てないとか!」

「だからどっちだよお前!」

「ふふふ!盗まれた所は見たんですのね。物は盗まれたくありませんが一目わたくしも見てみたいものですわ」

サルのオモチャの話し方にクスクスと笑うエレナと、ハッキリしろよと怒るエースの二人は食卓に並べられた料理の数々を前に口を閉じた。

とても食欲をそそられる匂いに二人は早速いただきますと挨拶してから料理に口をつける。

エースはもちろんのこと、マリージョアで常に美味しい食事を食べてきたエレナでさえもその美味しさに思わず頬をとろけさせた。

「このパスタとっても美味しいですわ!エース、ちょっと食べてみて下さいまし」

「んっ おお!うめェ!」

フォークを持つエレナの手をガシッと掴みながらそのままパスタを掬って口に含んだエースは目を輝かせながらエレナを見つめて嬉しそうに破顔した。

口の周りに沢山ご飯粒やらソースやらをつけながらも止まる勢いのないエースはただひたすらに来た料理を平らげていく。

一方、エレナはエースに握られた手を見つめてとろんと目をとろけさせた。

「(エースが私の手からパスタを…!!可愛いしかっこいいし…え…よく考えたら…こ、これって間接キス!?)」

一人でキャーキャーと顔を赤くするエレナを不思議に思いながらもエースの食べる手は止まらず。

漸く手が止まったかと思う頃にはテーブルの上は山積みの皿だらけで、エースとエレナの座っていたテーブルは前に座る相手の顔すら見えなくなる程の量の皿で埋め尽くされていた。

「いや〜よく食った!なんかおればっか食っちまったみてェで悪ィな。エレナもちゃんと食えたか?」

エースが皿の向こう側にいるエレナにそう話しかける。が、エレナは何も答えなかった。

「エレナ?」

何も答えないエレナに疑問を感じたエースはその場から立ってエレナがいるであろう皿の向こう側に目をやった。

しかしそこにエレナはいなかった。

「エレナ?…っおい どこだ!」

ついさっきまで目の前で笑っていた筈のエレナがいない。ツーッと嫌な予感が背筋を冷たく流れる。一体いつからいなかった?なぜいなくなったことに気づかなかった。なぜエレナから目を離した。そんな自責の念が波のように押し寄せてくる。

「おい店主!おれとメシ食ってた女がどこ行ったか知らねェか!?」

「いえ 知りませんけど」

「くそっ…!」

店主のその言葉にエースは血相を変えてレストランから飛び出すとオモチャと人とが行き交うドレスローザの町へ向かって走り出した。

一方そんなエースを見ていた店主は不気味に口の端を持ち上げるとポケットから電伝虫を取り出しどこかへ電話をかけるのだった。

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