05
「ささ こんな趣味の悪い服は脱ぐざます」
「あら!ねェジョーラ これとか似合いそうじゃない?」
「んま〜全っ然ダメざますわ!ここは芸術家のあたくしに任せてあーたは大人しく引っ込んでなさい」
「ベビー5が持ってたドレスの方が可愛かったわ。ジョーラのは色も趣味も古臭くてダサい感じがする」
「お黙り!お子ちゃまなあーたにはこの芸術の素晴らしさが分からないのざます」
「うるさいしお子ちゃまじゃない」
私の目の前でドンキホーテファミリー女性陣達によるファッション講義が始まった。自称芸術家のジョーラとメイド服のスカート丈がびっくりするほど短いベビー5、そして子供らしい白地に水色水玉のワンピースを着ながらグレープを食べているシュガー。
ちなみにモデルは私。天竜人服は趣味が悪いと言われ速攻脱がされ代わりに何十着ものドレスを着させられている。確かに趣味悪いのは事実だから反論できないのが悔しい。
いやしかしね、本当もう何がどうしてこうなった?って感じだよね。わかる。あの残酷非道なドフラミンゴの事だからてっきり地下牢なんかにブチ込まれるかサクッと殺されるかの2択だと思ってたら丁重にもてなされて着飾られて…一体何を考えてるのか訳がわからない。
「ねェ あなたどんな色が好きなの?」
「え?あ、そうですわね…ピンクが好きですわ」
「そう。やっぱり女の子はピンクよね!ちょっと待ってて」
突然話しかけてきたベビー5は私の好きな色を聞くとドレスが沢山並んでいる方へと走って行った。
さっきはドフラミンゴとトレーボルに追いかけられて寿命が縮む思いをしたけどなんだかこの女だけの空間は少し安心する。
まぁドフラミンゴやトレーボルがいた時に比べてって意味だけども。
一体私の愛しのエースはどこに行ってしまったんだろう。エースは強いから滅多にやられることなんてないと思うけど心配だ。変装なんかもしてないし海軍に見つかりでもしたらと思うと気が気じゃない。
「変な顔」
ん?変な顔?
「若様のあんたへの興味なんてすぐ無くなるんだから変な期待はしないことね」
冷たい口調でそう言われ、声のする方を見ると若干鋭い目をしたシュガーと目があった。
いや期待ってなんやねん。こちとらどうすりゃここから逃げられるかしか考えてないってのに何お門違いなことを言ってるんだね君は。
「あら 興味をなくしてくれるならそれ以上に嬉しいことはありませんわ。ご忠告どうもありがとうございまし」
負けじと嫌味も混ぜてそう返せばシュガーの目が更に鋭くなった。
「いいわ 若様が興味をなくしたその時は私があんたをオモチャにしてあげる」
覚悟してなさい、と言う捨て台詞と共にシュガーが部屋を出て行った。
や、やばい!!言いすぎた!?私ドフラミンゴから興味無くされたらあの子にオモチャにされちゃう系なの?シンプルにやばくね?
みんなに、エースに忘れられちゃうって事でしょ?………うん、無理!そんなの耐えられない!
でもちょっと嫌味言っただけでオモチャにするか普通?人の命をなんだと思ってるんだまったく。
「ね、これ着てみて!あなたに似合うドレスをーーあら シュガーは?」
さっきまでこの部屋にいたシュガーが見当たらず首を傾げるベビー5。
(ほぼ)殺す宣言されましたなんて事は言わず、私も知らないと首を振っておいた。