07
 
「べっへへ〜本当バカだんねーコイツ!一度だけならず二度も脱走!!マヌケすぎて鼻出るわ〜」

「よせよせ ドフィから逃げられると思ってる頭のめでたいガキの考えることだ」

トレーボルとディアマンテが私を見下ろして小馬鹿にしたように笑い合う。

くっ…!またしても捕まってしまった…!!ーー状況を整理しよう。私はついさっきファミリーの全員が勢揃いしているという扉を目の前にして脱走を図ったのだ。

手に入れた能力のおかげでベビー5とジョーラの2人からは逃げ切れたものの、事態を把握したドフラミンゴにあっさりと捕まった。

いやぁ捕まった時は流石に死を覚悟したよ。だって二度目の脱走だもん。一度だけなら許したかもしれないけど二度目はやばい。

でもそんな私の心配も杞憂だったようでドフラミンゴはただただ笑みを貼り付けた顔のまま私を部屋へと連れ戻した。

いや……待てよ、それもそれで逆に怖くないか?普通少しはキレてもいいのに笑っていらっしゃるなんて…

「しかし若 なぜ逃げ出したその女に制裁を加えないのです。若の手を煩わせたからにはそれ相応の対応がなくては下の者に示しがつきません」

「フフフフフッ まァそう怒ってやるなグラディウス 誰だって逃げ出したい時の一つや二つはあるもんだ」

ホッ…!若様至上主義な過激派グラディウスをやんわり押さえてくれた!!もしかしてドフラミンゴって案外話わかるやつだったりする?

「だがよドフィ こうも立て続けに逃げられるんじゃあいつ本当に逃げられてもおかしくねェ 対策はあるのか?」

「海楼石も効かねェ オマケに能力そものもが能力者の弱点ときちゃいくら尻の青いガキでも厄介だ」

誰が尻の青いガキだ赤ちゃんコスプレ野郎。

「心配するな 策ならもう用意してある」

「べへへ〜流石はドフィ!んねーねーそれで!?それでその策ってなんだ?もしかして監禁〜?」

「監禁か…残念だが違う。これから"ファミリー"になろうっていう家族にそんな物騒なマネはしねェさ」

いやそもそもあんたの存在事態が物騒なんだけど…。その前にだよ。この人達私がファミリーに入る前提で話してるけど一体なんの冗談ですか。私の意見はガン無視ですか。

あ〜誰かサクッとここから助け出してくんねえかな。てか今原作時間枠でいうとどこなん。てっきりもうドレスローザ編始まってるかと思いきやまだみたいだしさ?本当運悪い時に捕まっちゃったよ全く。

1人頭の中で物語の流れを整理していると私を見つめたままドフラミンゴが一層笑みを深めて口を開いた。

「どうやらこの国には公開処刑予定だった"火拳のエース"がいるらしい」

ドフラミンゴのその一言に心臓が嫌な音を立てる。

「"火拳のエース"って言やァ確か海賊王の息子だったな」

ディアマンテの言葉にドフラミンゴが頷く。そして奴は口の端を高く吊り上げて私を見つめた。

「ーーそこでだお嬢ちゃん 一つ取り引きといこうじゃねェか」

「…なんなんですのっ!わたくしにどうしろと…!」

「なに 簡単な事だ。大人しくファミリーの一員にさえなってくれりゃ"火拳"には手を出さねェと約束する。ーーだが…断るなら話は別だ」

消す方法ならいくらでもある、と言ってシュガーに目をやったドフラミンゴに血の気が引いていく。

私がここで断ったらエースがオモチャにされてしまう。私のせいでエースという存在がこの世から消えてしまう。
そんな事は何があっても避けなければならない。

今すぐにでも出て行きたいような場所だがここはドフラミンゴの提案を飲むしかない。幸い私の能力に興味があるようだから殺されはしないだろう。

「わ、わかりましたわ…!もう逃げませんからエースには手を出さないで下さいまし!!」

「フフフフフフフッ!!理解が早くて助かるよ 約束通り火拳には手を出さねェさ」

「べっへっへっへっへ〜〜!!これで"海の秘宝"はドフィの手に収まったも同然だんねー」

鼻水をゆらゆら揺らしながらトレーボルが上機嫌に笑う。エースの身を危険に晒す事にはならなかったにせよ、一体私はこれからどうなってしまうのか。

運悪くも白ひげ海賊団のみんなはどうしても外せない急用が出来てしまったらしく一度魚人島で別れたきり。

つまりこの国には今エースしか私を守ってくれる人はいない。が、そのエースの命を担保にとられた私はもう身動きすらとれないわけで。

いくらエースが強くても1人じゃドンキホーテファミリーには敵わない。もうここは主人公組に託すしかないのだよ。

……神様仏様ルフィ様!ドレスローザ来るならどうか早めにお願いしますっ!!

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