08
 
強制的にドンキホーテファミリーに入らされてから3日程が経った。

エースに手を出さないと約束させたものの、私がいなくなってエースはどう思っているのだろうか。

すぐにこんな面倒ごとに巻き込まれる私に呆れているのかもしれない。でも私もあの時なんであのお店で寝てしまったのかが分からないのだからしょうがない。

もし3日も経って尚探してくれているのならとても嬉しいけど、もう私の捜索は中止してくれて構わない。

私がドフラミンゴに囚われているのを知ったらエースの性格なら一人でも乗り込んで来そうな気がする。そんな事になれば私がドフラミンゴの言いなりになった意味がなくなってしまうのだ。

「おい小娘。メシの時間だ ついてきな」

チュパっとおしゃぶりをしゃぶりながらそう言ったのは赤ちゃんコスプレ野郎でお馴染みのセニョール・ピンクだ。

とても豪華で広い部屋を一室与えられてはいるがこうして部屋には常に見張りがいる。あのフラミンゴ野郎め監禁はしないとか言ってたクセに。

見張りも見張りで気が滅入る。しかもまだ同性だけならそれでも許せたかもしれないが何の冗談か男もしっかり室内に入って見張ってくるのだ。

嫁入り前の乙女になんたる辱め。私にはエースという心に決めた大切な愛しい人がいるっていうのに四六時中エース以外の男に監視されるなんて屈辱以外の何物でもない。

「どうだ小娘 ここには馴染んで来たか」

「馴染むわけないですわ 大好きな人と離れ離れにさせられているっていうのに」

「心に決めた男でもいるってのか」

「ええいますわ!でもあなた達のせいでこの先一生会えなくなってしまうかもしれませんの この責任どう取って下さいますの?」

わざわざ私の地雷を踏んで来たセニョールピンクに思いのほか声を荒げてしまう。
いやでもしゃーない。少しはブチまけないとストレスで禿げそうだもん。

前を歩くセニョールピンクをじとっと睨んでいると彼は突然立ち止まり私に向き直った。え!何またシュガーの時みたく言い過ぎた!?生意気な小娘だぜ今ここで亡き者にしてやるとかないよね!?

「その件に関しちゃ悪いと思ってる。ーー男でも女でも…愛するモンと会えなくなるってのはそれだけで心を抉られるような痛みを感じるもんだ」

「……!なんですの そんな慰めみたいな事を言われましてもわたくしはっ」

「慰めじゃねェ その気持ちがおれにはよく分かる。だから悪いと思って今話してるんだ 小娘よ」

……。うん、なんかとても真剣に話してくれてるっていうのは雰囲気からして分かるんだけどどうもその服装のせいで話がすんなり入ってこない。

でも何だかセニョールは服装の割にまだ話が通じそうな人だという事がわかった。
トレーボルとかはんねーんねーばっかり言ってるから意思の疎通すら満足に取れなさそうだし。ピーカとかはまだ喋った声聞いてないし…。あ、でも声聞いて絶対笑わないようにしないと。石埋めの刑にされちゃう。

何はともあれこの一件で私の中でちょっぴり、ほんのちょっぴりだけどセニョールの株が上がった。

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