018
「さすがのあんたもそれだけ斬られたら倒れるのね。さっき何怒ってたの?」
「おれはあいつら嫌いだ。あいつら間違ってる…!!それにウィルのことも悪く言うから嫌いだ」
「あんた本当にウィルにベッタリね」
「そうか?まァ兄ちゃんだからな!」
「は……?兄ちゃんって…!アンタたち兄弟なの!?」
「なんだナミ、お前知らなかったのか?」
「知るわけないでしょうが!!ねェウィル、本当にアンタとルフィは兄弟なわけ!?」
「そうだね。おれとルフィ、あと他にまだ二人の兄弟がいる」
「へェ…でも全然似てないわよね」
「ああ、まぁそれはそうだろうね。おれたちは盃を交わした義兄弟だから」
エースとサボ、それにルフィと交わした兄弟盃。幼い頃の思い出をふと振り返り懐かしそうに目を細めるウィルを見てナミは微笑んだ。
「ふっ。ふふっ!ウィルったらただの美形鉄仮面男だと思ってたけど案外可愛い顔もできるのね!」
「………は?」
「何言ってんだナミ!ウィルは仮面男なんかじゃねェぞ!!」
「アンタは黙ってろ!ったく。ようはそんな顔もできるんだからいつもそうしてなさいってことよ!おわかり?」
「そういうものなの?意識して顔を作ってるわけじゃないからわからないんだ」
「無意識にってことね。まぁ確かにそれも効果バツグンなんだけど…」
ナミがブツブツとこうでもないああでもないと呟いていると街の方からゾロがやって来た。
「よう。そっちは片付いたのか?」
「おう!」
「随分遅かったな。さっきゾロの気配を探ってる時この辺を行ったり来たりしてたがそれは…?」
「ああ、お前確か気配でわかるんだったな。あー…、散歩してたら迷ってな」
バツが悪そうにガシガシと後頭部を掻くゾロを見て目を丸くしたウィルはその状況に思い当たる単語を口にした。
「……迷子?」
「ちげェ!!同じような木が生えてやがるから少し道に迷っただけだ」
「それを迷子って言うのよ。バカね」
「なっはっはっ!!ゾロ、お前迷子だったのか!」
「ナミ、ルフィ。あまり笑うのも失礼だ。笑うなら本人に分からないように笑え」
「お前が一番失礼じゃねェか!?」
「…?気に障ったならすまない」
「いや…そう言われると何も言えねェけどよ」
至極真面目に考えてルフィとナミに助言したウィルはゾロに言われた言葉に何か気に障ってしまったのかと考える。一応すまないと言えばゾロはそれ以上何も言えなくなり、すとんとその場に座り込んだ。