019
「ありがとう!!お前たちのお陰だよ。お前たちがいなかったら村は守りきれなかった」
特にすることもなくその場に座り込んでいたウィル達は後方から聞こえてきたウソップの声に後ろを振り向いた。
「何言ってやがんだ。お前が何もしなきゃおれは動かなかったぜ」
「おれも」
「どうでもいいじゃないそんな事。宝が手に入ったんだし」
「その、お前ーーじゃねェ。ウィルもありがとな!」
「?なにがだ」
「カヤの無事を確かめに屋敷に行ってくれてたんだろ?あの執事が言ってた」
「ああ、それ。別に礼を言われるような事じゃない」
「それでも!!感謝してるんだ。最初はすげェ強いって聞いてたから怖いやつなのかと思ってたけどよ」
「ウィルは怖くねェぞウソップ!」
「ま、その強いってのは間違ってねェよな」
「そうね。それに美人よ。目なんて宝石みたいだわ」
「美人って…間違っちゃいねェけど。しかし本当に綺麗な顔してるな」
ルフィとゾロ、ナミにウソップ全員が一斉にウィルの顔をジーッと見つめる。それに何を思ったのかパサリとウィルがフードを被った。
「あ、ちょっと!なんでフード被っちゃうのよ。顔が見えないじゃない、もったいない!」
「もったいないって…」
なにが?と言いたげなウィルにナミが答える。
「もったいないわよ!そんな綺麗な顔隠すなんて。ね、どうしてもフード取ってくれないの?」
「そこまで言うなら取るけど…。変わってるね、ナミは」
「…!はァ。いい?ウィル。寄ってくる女は蹴散らしなさいよ?私以外ね」
「何ちゃっかりお前のモンにしようとしてんだ…」
「なに!?ナミお前ウィルはおれの兄ちゃんだぞ!!」
「お前財宝しか興味ないんじゃーーって兄ちゃん!!?」
「………」
お前に渡すもんか!と舌を出すルフィ。ウィルは私の生きるお宝なの!と言いながらウィルの腕に絡むナミ。呆れた様子でそれを見るゾロ。そしてルフィの兄発言に驚くウソップ。そんな騒がしい四人を見ながらウィルは瞳を閉じた。ーー賑やかなのも悪くない。そう思いながら。