029
「ゼフの航海日誌を手に入れ おれは再び海賊艦隊を組み、”ひとつなぎの大秘宝”をつかみ この大海賊時代の頂点に立つのだ」
バラティエ船内での激しい銃声や悲鳴にウィル、ゾロ、ウソップの三人はバラティエに乗り込み、テーブルに着きながらその光景を眺めていた。
「(この時代の”頂点”ね…よほど脳内がお花畑らしい)」
大海賊時代の頂点に立つと豪語するクリークをひどく冷めた双眸で見つめてウィルは思った。あれだけ”違い”を目にしてまだそんな事を口にするクリークにウィルは一回りまわって驚きすら感じていた。
「ちょっと待て!!海賊王になるのはおれだ」
「!な…雑用っ!!」
「おい引っ込んでろ 殺されるぞ!!」
「引けないね。ここだけは!!」
腰にエプロンを巻いたルフィがニッと不敵に笑いながらクリークを指差す。
「何か言ったか小僧。聞き流してやってもいいんだが」
「いいよ聞きながさなくて。おれは事実を言ったんだ」
「遊びじゃねェんだぞ」
「当たり前だ」
殺伐とした雰囲気の中、ウィルは目の前で話し始めるウソップとゾロに何を思ったのかフードを深く被る。そしてクリークを見てフードの中で嘲笑した。そのあまりにも無謀な考えと幼稚なやり方に。
「さっきの話聞いてたろ。あのクリークが渡れなかったんだぞ。いくらウィルがいたってよォ…な!悪いことはいわねェよ やめとこうぜ!あんなとこいくの!」
「うるせェなお前は 黙ってろ。ーー戦闘かよルフィ、手をかそうか」
「ゾロ、ウソップ。ウィルも来てたのか。いいよ座ってて」
「……ハ…ハッハッハッハそいつらはお前の仲間か。ずいぶんささやかなメンバーだな!!そこのフード野郎に関しちゃおれに怖気付いて顔を隠してやがる」
クリークがフードで顔の見えないウィルを見て自分に怖気付いたのだろうと勘違いを起こし笑い出す。当のウィルはまだ気づかないのか、と呆れた様子で豪快に笑うクリークを見ていた。見るにメンタルが強いというか、ただ己の力量がわからない図体馬鹿なのは分かった。
「おいお前!ウィルをバカにするな。ウィルはお前なんかよりずっと強ェんだぞ!それに仲間ならあと2人いる!!」
「おいお前それおれを入れただろ」
「ナメるな小僧!!!情報こそなかったにせよ兵力五千の艦隊がたった七日で壊滅に帰す魔界だぞ!!!」
「な…七日!!?」
「クリーク海賊船団がたった七日で壊滅だと!!?」
「一体何があったんだ………!!」
七日で壊滅したと言うクリークにその場にいた者達が狼狽える。
「きィたかおいっ!一週間で50隻の船が」
「面白そうじゃねェか。なァ、ウィル」
「ん。普通に航海してれば大した事ないよ」
「そうか、これで安心ーーーってできるかァ!!!」
ウィルの軽い言い方にウソップがバシッとテーブルを叩いた。