035
「そういうアンバイで逃げられました!!!」
なぜこのような事態に陥ったのかを話し終えるとヨサクとジョニーが床に膝をついて頭を下げた。
「くそっ!!あの女!!最近おとなしくしてると思ったら油断もスキもねェっ!!!」
「この非常事態に輪をかけやがって!!!」
「待て!まだ船が見えるぞ!!」
「何!?」
「ゴーイングメリー号だ…!!ヨサク!ジョニー!お前らの船は!?」
「それはまだ残ってやすが」
「ウィル!ゾロ!ウソップ!!」
「ほっとけよあんな泥棒女。追いかけて何になる」
「でも船は大事だろ」
「追いかけるか、ルフィ」
既に諦め気味なゾロや船の安否を心配するウソップを横目にウィルは小さくなっていくメリー号を見つめる。一人あの船に乗り、ナミは何を思うのか。
「ああ!おれはあいつが航海士じゃなきゃいやだ!!!」
「そう、なら追いかけるよ。聞きたいこともあるしね」
「!わかったよ………世話のやける船長達だぜ。おいウソップ!行くぞ!!」
「お…おう」
ルフィとウィルの言葉にため息をつきながらゾロが額に手を当てる。ウィルはそんなゾロの肩にポンと手を置いた。
「苦労をかけるね」
「船長と副船長の頼みだ、断れねェよ」
「副船長ってもしかしておれのこと?」
「お前以外誰がいるんだよ」
「副船長なんてガラじゃない、ゾロの方が副船長らしいよ」
「なんだなんだ!副船長か?ならこのキャプテン・ウソップ様がなってやっても」
「いや、副船長に申し分ねェ強さと判断力がある。お前以外にゃ務まらねェよ」
「…頑固だな」
「お前もな」
「お、おいおれを無視するなよ」
いっそ潔い程にスルーされたウソップがちょいちょいと手を手招く。自分が副船長になるなど考えてもいなかったウィルは眉をひそめた。
「ゾロのアニキ!ウィルのアニキ!船の用意ができやした!!」
「お前はここに残るんだろう?」
「おう!まだこのレストランで何のケリもつけてねェから!ウィルはゾロ達について行ってくれ」
「わかった。そっちは任せたぞルフィ」
「しししっ!任された!」
ルフィにバラティエを任せてゾロやウソップ達と船に乗り込もうとした時、騒々しい声の方角を向くとそこには棺船が。その船に乗る男、鷹の目のミホークはその鷹のように鋭い瞳にウィルを映した。
「あいつだァ!!!!」
「首領クリーク!!!あの男です!!!我々の艦隊を潰した男!!!」
「ここまで追って来やがったんだ!!!おれ達を殺しにきやがった!!!」
見覚えのある棺船を見てクリークの額に冷や汗が伝う。あの船に乗る男こそ自分達を一瞬で壊滅させた男。忘れるはずがない。だがもう一人の”嵐を呼ぶ男”の姿がない。奴はどうした、とクリークは辺りを見渡した。
「まさか…あれが…鷹の目の男……!?」
食い入るようにミホークを目で追うゾロを見てウィルはタイミングが悪いと内心ごちりながら息を吐いた。