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「噂通りの冷酷無慈悲さだぜ、あの男!!」

「お、おれ達を殺しにきやがったんだ」

クリーク海賊団の船員がウィルに対し恐怖で顔を青くする中、ゾロは先ほど銃弾の弾道を変えたミホークの太刀筋に目を見張る。そして、真っ二つに斬れたガレオン船を見てミホークに問い掛けた。

「その剣でこの船も割ったのかい」

「いかにも」

「なる程…最強だ」

ミホークの応えにそう言ってゾロは再び口を開く。ウィルは黙ってその様子を見ていた。

「おれはお前に会うために海へでた!!」

「………何を目指す」

「最強。ヒマなんだろ?勝負しようぜ」

ギュッと手ぬぐいを頭に巻いて刀を抜いたゾロにミホークはウィルを見ると静かに口を開く。

「ぬしはここで見物していろ」

「ああ 死なない程度に頼む」

「ほう。中々珍しい事を言うな」

「あいつはおれの仲間だ」

「…!なるほど 覚えておこう」

珍しいものを見た、とミホークはゾロのいる方へと向かいながら考える。あの他人に興味を示さない男が仲間だと言うゾロに視線をやる。

「哀れなり。弱き者よ。いっぱしの剣士であれば剣を交えるまでもなくおれとぬしの力の差を見抜けよう。奴も苦労のかかる仲間を持ったものだ」

「てめェが強いのは百も承知だがーーやる前から勝てねェと決まった勝負はねェだろ?」

「力の差を理解してもなおこのおれに刃をつき立てる勇気はおのれの心力か…はたまた無知なるゆえか」

「おれの野望ゆえ。そして親友との約束の為だ」

割れたガレオン船の上で対峙するゾロとミホークを見据えながらウィルは目を閉じた。




「いー奴らだったなァ………今度会ったらまた仲間に入れてくれるかな…」

海上レストラン・バラティエから少し進んだ海域に浮かぶ羊の船首を持つ船。そしてその船に乗っているナミは遠くの海を眺めながらポロポロと涙をこぼしていた。

「ねェウィル。変なこと聞いていい?」

「ん…?どうしたいきなり」

「…あのね!もしーーーー」

「おーいウィル!ナミ!早く船に乗れ!」

「ごめん、聞こえかなった。もう一度言ってくれる?」

「あ、いいのよ!大したことじゃないから。ホラ行きましょ!!」


シロップ村を出航する時、ウィルに言いかけた言葉。ただ一言、助けてほしいと言えたならどれ程楽だったか。

「今更倒して欲しいヤツがいるなんて言っても虫が良すぎるわよね………ッウィル!!」

日常のほとんどが無表情で、何を考えているのか分かりづらい。だが想像していたより幾分か仲間想いの彼はピンチの時に自分を助けてくれた。圧倒的に強いウィルに頼んだのなら、楽になれたのだろうか。

「………はやく自由になりたいよ ベルメールさん…………!!!」

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