003
 
「ちょ、仲間ってあの太陽と月を追う狼スコルハティが!?冗談やめなさいよ!」

「冗談なんかじゃねェ!ウィルはおれの仲間だぞ!小さい頃約束したんだ!!」

「おいルフィ、その話が本当ならいきなり40億越えの賞金首が仲間になるってことか」

「おう!そうだ」

「ほー、そりゃまた楽しい航海になりそうだな」

「仮に、仮にあんたの話が本当だとして。そんな人が仲間なら向かう所敵なしね…。お宝持ってたりしないかしら」

「お、おいおい本当に大丈夫なのかよそいつ。だってよ、48億だろ?そんな額今まで聞いたことねェぞ」

「何言ってんだ、ウィルは優しいから大丈夫だ。あ、でも多分本気で怒ると怖いぞ」

「そ、そんな48億の男を怒らせるようなことしないわよ」

「試しに怒らせてみるってのも面白そうだな」

「ん〜でもウィルは怒らねェからな。おれも怒ったところ見たことねェ!しししっ!!」

「いや笑い事か!!」

ーーーーーーーーーー

「………」

店を出て何か重要な事を思い出したウィルはとことん自分の運の悪さを呪った。すっかり忘れていたがここまで乗り継いできた小舟が壊れたのだ。だがしかしこの小さな村に果たして船があるのだろうか。


別段船がなくとも一応は先に進めるが、あるに越した事はない。結論に行き着くとウィルは新しい船を新調する為、村に向かった。


「船?なるほどねェ…船か…いやあるにはあるな。この先を行くとこの村には場違いなぐらいデカイ大富豪の屋敷がある。そこに行けばもしかしたらくれるかもしれねェな」

「この先、ね。…親切にありがとうございます」

頭を下げて礼を言ってからウィルは再び黒いフードを深く被ると来た道を真っ直ぐ歩いて行った。

ーーーーーーーーーー

「ここか…まずは屋敷の主人に話しをつけて貰おうか」

そう言って門の前で屋敷を眺めた後、ウィルは軽く飛び上がり、門に片腕をつきながらひょいっと身軽に敷地内に入った。そのまま玄関の方に向かおうとした所、どこからか話し声がする。なんとなく話し声のする場所に足を運べば屋敷の中から顔を出した女性と鼻の長い青年が仲睦まじく談笑していた。なるほど、とウィルは顎に手を添えるとポロっと口を滑らした。

「そしてまたもや手柄をたてたおれを」

「ああ、恋人かな」

「そう…恋人…じゃねェ!!ってお前さっきの!!!」

「さっき?おれは君と会った事が…?」

「いや、ああっ会った事っていうかあんた有名人だろ!!?なっなななんでこんなところに」

ウソップが突然どこからともなく現れたウィルに怯えてガタガタと体を揺らしていたその時、この場に似つかぬ陽気な声が響いた。

「キャープーテーン!!」

「げっ!!お前ら何しに来たんだ!!」

「キャプテン…?じゃあ君は船、持ってるの?」

「え!?船!?い、いや持って」

「ウィル!!!!!」

ダダダダダッ!!と何かが走ってくる音と呼ばれた自分の名に一瞬動きを止めてウィルが音のする方に顔を向けた途端、彼は抱き付かれた衝動に一歩後ろに足を運ぶ。そして、懐かしい匂いに抱き付いてきた人物を瞳に映した。

「ルフィ…?」

「ああ!おれだ!見つけたぞウィル!!ひっさしぶりだなァ!!約束覚えてるよな!?」

「ああ、覚えているよ」

「おう!じゃあウィル、おれの仲間になれ!!!」

「うん、いいよ」

「「「軽っ!!!」」」

あっけからんとその光景を見ていたゾロ、ナミ、ウソップの声が揃った。

「彼らは?」

「ああ、あいつらはおれの仲間だ!緑のやつがゾロであっちがナミ!」

「そう」

ルフィから聞いたそれにウィルが二人の元までま歩いて行く。ナミが驚いたような、怯えているような顔で少したじろぎ、一方のゾロは動じない様子で。そんな彼らを見てウィルが僅かに頬を緩めた。

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