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「チキショオオーーーーッ!!!」
「何だありゃ!!?」
「うおあああーーっ!!!」
「あの小僧……!!!悪魔の実の能力者だったのか…!!!」
「ウィルと若き剣士の仲間か…貴様もまたよくぞ見届けた……!!!」
ゾロとミホークの戦いが終わった瞬間、堪えきれずにルフィがミホークの元へ飛んで行く。だがそれは何の前触れもなくミホークの前に現れたウィルによって阻まれた。
フワッ…
「…!ウィル!!」
「その辺にしろルフィ。今のお前ではミホークの足元にも及ばない」
「けどよウィル、ゾロが!!」
「これはゾロが望んだ戦いだ。ミホークはそれに応えたまで」
「……!」
「それになルフィ、ゾロはお前に敵討ちしてほしいなんて望んでいない」
ウィルはヨサクとジョニーがゾロを救出している様子を眺めながらそう言った。
「ゾロ!!?」
「ゾロはどうだった、ミホーク」
「ふむ、中々に良い資質を持っている。ぬしが興味を持つのも分からなくはない」
「まさかお前に黒刀を抜かせるなんて思ってもみなかったよ」
「流石は貴様の見込んだ男と言うべきか」
「ああ…まぁ、ゾロは成り行きだったがな」
ミホークはウィルのその言葉に彼の視線の先を目で追うと、そこには今しがた自分の元へ飛んできた、麦わら帽子を被った男がいた。
「麦わら帽子の小僧か…?」
「…ルフィは海賊王になる男だから」
「ほう。ぬしにそこまで言わせるか」
揺るがぬ瞳でそう言い切ったウィルにミホークの顔に笑みが浮かぶ。暫くそんなウィルの様子を見ながらミホークはゾロに目を移した。
「我が名ジュラキュール・ミホーク !!貴様が死ぬにはまだ早い。己を知り 世界を知り!!強くなれロロノア!!!」
「……!」
「おれは先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を超えてみよ!!!このおれを超えてみよロロノア!!!」
「(ミホーク相手にそこまで言わせるか…)」
「小僧 貴様は何を目指す」
「海賊王!」
「ただならぬ険しき道ぞ このおれを越えることよりもな」
「知らねェよ!!これからなるんだから!!!」
「フッ、随分威勢が良い小僧だな、ウィル」
「すまないね、昔からこうなんだ」
「ふん、ウィルはお前なんかよりもっと強いんだぞ!おれの兄ちゃんだからな!!」
「兄?ぬしがか?」
「そうか、ミホークには言ってなかったか。そうだよ、ルフィはおれの弟だ」
「それは初耳だな。…なるほど」
ミホークはふむ、とウィルとルフィを見比べる。
「貴様の言う通りウィルは強い。ぬしが思ってる以上にな。政府は何よりやつの力を恐れている」
「?」
「やつが貴様の様な名もない海賊の船に乗っていると知られれば新世界の猛者共が放ってはおかないぞ、麦わらの小僧。場合によっては激しい戦いになるだろう。お前にその覚悟はあるか?」
「覚悟も何もウィルはやらねェよ!そんなもんおれが全部ブッとばしてやる!!」
あれ程に強大な力を持つウィルが名もない海賊の仲間になったと知れれば世界中の力を追い求める輩がルフィ達を狙うだろう。容易に想像ができる未来にミホークがそう言えばルフィは胸を張ってそれに応えた。