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「あぶねェウィル!!!」

「お前だけでも死ね 太陽と月を追う狼スコルハティ!!」

「……”バラフ”」

ピキッ
ピシッ!

「!?」

「じ、銃弾が…!!」

「何だ今の、弾が氷の粒みてェに!!!」

クリークが放った弾丸全てを粉々にしたウィルに全員が己の目を疑う。

「チッ…お前も悪魔の実の能力者か」

「お前に答える義理はない。ルフィ」

「?」

「お前一人で事足りるな?」

「ああ!ウィルはウソップ達とナミんとこ行ってくれ!」

「わかった。お前も早く来い、ルフィ」

「ししし!わかった、すぐ終わらせる!」

ウィルはそう言うといくらか離れたところにあるゾロ達の乗る小舟に乗り移った。

「あいつさっきから浮いたり突然現れたり…何の能力者だ?」

「さァな…だが一つ言えることがあるとすりゃ奴の強さは"異常"だって事だ」

「…ジジイより強ェのか?」

「フン 残念だが比べるのも馬鹿馬鹿しい程にな」

小さくなっていく小舟を見るサンジにゼフはクリーク達の方を見据えた。

「そんなことより目の前の敵に集中しろチビナス」

「うるせェ、クソジジイ いつまでもチビナスって呼ぶんじゃねェ!」





「しっかしやっぱお前強ェよなウィル」

「強いなんてモンじゃないっすよウソップの兄貴!」

「そうそう、なんせウィルの兄貴は億越えの賞金首ですからね!」

「億越えの賞金首なんて”偉大なる航路”にはいくらでもいるよ」

「何言ってるんすか!ウィルの兄貴は桁が違うんですよ!」

「それにさっきの、銃弾を粉々にしたウィルの兄貴にはもうシビれました!!」

あれから暫く、海を進みながらゾロの治療がひと段落したところで突然切り出したウソップの一言で話題はウィルの話になった。

なんとなく自分の話をされるのはむず痒く、ウィルは話を逸らそうと口を開いた。

「それより、もうすぐ着くんじゃないか?まだ着かなくともどこに向かうかぐらいはそろそろ分かるはずだろう」

「そういやそうっすね!えーーっと…この進路だと…」

「……!!」

「どうした」

「ア、アーロンパーク!!」

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