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「本当にあいつを行かせてよかったのか?」
「なーに、任せて下さいウィルの兄貴!ああ見えてもヨサクのやつはやるときはやる男なんすよ!」
ね、ゾロの兄貴!と言って笑うジョニーにウィルは本当に大丈夫かと不安になった。
「おれが行った方が早いと思うんだが」
大体の進路がわかったところでヨサクはルフィに居場所を伝えに行ったのだ。最初は自分が伝えに行こうとしていたウィルだったが、あっしが行きやす!と言って嵐のように去って行ったヨサクにウィルはこの船に残るしか選択肢がなかった。
「なにを!ウィルの兄貴の手を煩わせるくらいならおれ達が行きやす!!」
「そう…ありがとう」
相変わらず綺麗な顔でそう言って僅かに目尻を下げるウィルにジョニーが固まったのは言うまでもない。
そして約1時間後ーーーー
「つ…!!つ!!着きましたっ!!」
「あそこに本当にナミがいんのかァ!?」
「ゾロ、怪我の具合はどうだ?」
「さっきよりそこそこ楽になってきた」
「お前らなんちゅう呑気な会話してんだ!!」
目の前に見える大きな建物にはARLONG PARKとデカデカと書かれている。
それを見てゴクリと喉を鳴らしながらジョニーが真剣そうな声色で口を開いた。
「着きましたが…問題はこれからっす。まずナミの姉貴がどこに船をつけたかを…」
「斬り込むか?」
「ん何でそうなるんすか!!!」
「アホかてめェ!!!まだ何の手掛かりもつかんでねェんだぞ!!!ウィル、お前もこのバカになんとか言ってやれ!」
「……」
キリッとした顔で斬り込むか、と言い放ったゾロにジョニーとウソップが揃って声を上げる。一方ウィルはさっきまで生死を彷徨っていた人間のセリフではない、とゾロに感心した。
「ここにないと分かれば違う海岸にも回るぞ」
「へい、ウィルの兄貴!」
そうこうしてメリー号を探すウィル達。暫くするとようやくメリー号が見つかった。
「あった!!!」
「見つけたぞ!!ゴーイングメリー号だ!!あんなとこに停めてやがる!!」
「おい てめェらどういうつもりだ 縄をほどけ!!」
「確かにおかしな所に停まってるっすね。ここにあるココヤシ村から少しずれてる」
「ほどけ!!」
メリー号を探す最中、またゾロがいらんことをしないようにとウソップとジョニーが縄でゾロを船に縛り付けたのだ。
「無理すんな 叫ぶだけで気絶しそうなくせに!!お前死にかけたんだぞ?」
知ってか知らずかウソップがそう言いながらまだ傷の癒えてないゾロをバンバンと叩く。その様子を側で見ていたウィルは呆れてため息を吐き出した。
「ここは一つおれにどーーんと任しとけ あの女はおれが連れ戻してやるよ!!」
「アーロンパークじゃないとわかったら元気なんすね」
「おーもかーじいーっぱーい!!!ゴーイングメリー号へ船を着けろーーっ!!」
「へーい」
「よーしこの秘境の地に足を踏み入れんとするおれの勇姿に”男ウソップ大冒険”と題をつけよう!!イカスだろジョニー!ウィル!」
「へーい」
「そのまますぎて捻りがない」
「な、なんだとォ!まったく、ウィルはわかってねェな!この話はな……」
ズバッとそう言い放ったウィルにウソップが説明しようとしていたところ、彼はふと視線を感じて横を向いた。人間らしからぬヒレや足。そう、魚人だ。さっそく遭遇した魚人を前にウソップはその場で固まった。