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「「(魚人…!!!)」」

ウソップに加わりジョニーも魚人を見て顔を硬直させる。

「…すごいな」

「お前がそこまで言うなら相当強ェんだろうな」

一気に真剣な表情へと一変し、助太刀する、とどうにか縄を解こうとするゾロにウィルが答える。

「いや、ウソップとジョニーの顔芸がね」

「そっちかよ!!ぐっ…!!」

「そんなに叫ぶと傷口が開く。安静にしておけ」

「お前が真面目な顔して変なこと言うからだ!」

叫んだ拍子に斬られた傷口が痛み、ゾロが唸る。何を叫んでるんだという顔のウィルにゾロは自分でもわからないまま自然と振り回されていた。

「って何通り過ぎてんだよ!!!」

「「しーーーーーーっ!!!」」

「今見たか!?魚人がいたぞ アーロン一味だ 見たろ!?恐ェんだよ悪ィかよコラ!!」

「お前がキレんな」

「ウィル、お前だけが頼りだ!魚人共を一掃してきてくれ!!」

「ウィルの話聞いてなかったのか こいつはおれ達を鍛えるために手は出さないって言ってたろ」

「そ、そうだけどよ…!」

「それにあんな半魚野郎おれ一人で十分だ」

「かっこいいっすアニキ!!それでこそ”海賊狩りのゾロ”!」

わちゃわちゃとゾロをもてはやすジョニーはさておき、やはり怪しいと踏んだのか、向かってくる魚人二人にウィルは縛り付けられているゾロを見てどうするのかと彼らの様子を見守る。

「ゲ!!!脱出!!!」

「御意っ」

「ちょっと待てお前らァ!!!」

小舟に縛り付けられたままのゾロ、そしてその場から動かないウィルを置き去りにウソップとジョニーが海へ逃げる。

「せめて縄をほどいていけェ!!!」


ゾロの叫びも虚しく猛スピードで海を泳いで行く二人。それを見てウィルは呆れて瞳を閉じた。この状況でもしゾロが一人だった場合、重症で更には縛り付けられたままのゾロは魚人達に為すすべなく捕らわれるだろう。

仲間でないジョニーはまだしもウソップは問題だ。決して見過ごすことはできない仲間を売る行為にウィルの瞳が細められた。

「へへへっ追いついたぜ」

「止まれ止まれェ」

「何だコイツら二人か…?」

「さてはどっかから島流しにでもあったな?」

「……あァ まァな…(アイツらブッ殺してやる…!!)」

「なるほどこりゃ拷問で受けたケガか…」

「こっちの綺麗な顔の兄ちゃんはどんな罪で島流しだ?」

「ここまで綺麗な顔なら男でもアーロンさんのとこに連れて行かなきゃな」

「オークションに賭けてもいい値が張るだろうな」

「へへっまぁ男ってとこが残念だが利用価値は十分にある」

言われるがまま大人しくそこで動かないウィルにゾロが眉を顰める。ウィルは魚人達が口にした”アーロン”という名にこのまま大人しくしていれば目的のナミの元までたどり着けるかもしれないと予想してジロジロと遠慮なしに自分を見てくる魚人達を静かに見据えた。

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