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「…ウソップの兄貴はもう殺されました!!!………!!!ナミの姉貴に!!!」

見聞色の覇気を使ってゾロ達のいる所まで向かう。見知った気配が増えたところを見れば恐らくルフィ達が無事到着したのだろう。

そして彼らの元まで辿り着くと何となく険悪な雰囲気を醸し出していて。ジョニーが悲痛そうにウソップが殺されたと叫ぶ中、ウィルの隣にいるウソップはそれを聞いて微妙な顔をしていた。

「お前もういっぺん言って見ろ ブッ飛ばしてやるからな!!!」

「やめろルフィ!!ジョニーにゃ関係ねェだろ!!?」

「デタラメ言いやがって!!!ナミがウソップを殺すわけねェだろうが!!!!おれ達は仲間だぞ!!!!」

「信じたくなきゃそうすればいいさ…!!でもおれはこの目で…!!あ、あれ?」

「よ、ようお前ら!悪ィがおれ様は死んでなんかねェぞ」

「ルフィ 無事に辿り着けたのか」

「ウィル!!ウソップを助けてくれたのか?」

「まぁ、成り行きでね そっちはちゃんとサンジを仲間にしてきたみたいだな」

「おう!」

「ま、まさかウソップの兄貴が生きてたなんて!!」

「おい!人を勝手に殺すなお前」

「それにしてもやっぱ男とは思えねェほど綺麗な顔だな お前」

サンジがウィルの顔をまじまじと見ながらそう言う。前にもこんなことがあったような気がする。

「そうか?別にそうでもないと思うけど」

「いや 少なくともおれはお前みてェなクソ美形野郎に会ったことはねェよ」

「クソ美形野郎…?」

「ああ、ワリィな褒めてんだこれでも」

「そうか ありがとう」

「おう」

サンジとの妙なやり取りの後、後ろから見知った気配を感じたウィルはルフィ達に背を向けて気配のする方角に顔を向ける。

「あ!!ナミだ」

「本当だ おーいナミ!!」

遠くにいたナミがルフィ達の方に歩いてくる。近くまで来たところでナミが冷めきった目をして口を開いた。

「何しに来たの?」

「何言ってんだ!お前はおれの仲間だろ 迎えに来た!!」

「大迷惑 ”仲間”!?笑わせないで。くだらない助け合いの集まりでしょ?」

「ナ!!ナミさ〜〜ん おれだよ憶えてる!?一緒に航海しようぜ!!」

「てめェひっこんでろ!!話がややこしくなんだろうが!!!」

「アンだとコラ 恋はいつでもハリケーンなんだよ!!」

「静かに」

ウィルの一言で怒鳴り合いをやめたゾロとサンジ。それを横で見ていたウソップはすげェ…と思わず言葉を洩らした。

「おいマリモ野郎てめェのせいで怒られただろうが」

「てめェが変なこと抜かすからだろ」

「ああ!?やんのか大怪我人!!」

「上等だクソコック 叩っ斬ってやる!」

再び始まった怒鳴り合いにウィルが一つため息をついてから再度口を開いた。

「静かに。何度も言わせないでくれ」

そうして今度こそ静かになった村のはずれで、険悪な雰囲気が辺りを包んだ。

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