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「汚い手でベルメールさんのみかん畑に触るな!!!」

「ウ!!!」

「私のお金はお前達になんか渡さない!!!………あのお金は…」

「この娘の金はこのココヤシ村を救うための金だ!!!それでも貴様等に金を奪う権利があるのか海軍!!!」

騒がしい声のする方向へと進んだウィルはちょうどナミが海兵を押し退けている場面に遭遇した。

何やらわけありのような雰囲気に黙ってその様子を見守る。

「……!?ゲンさん……なんでそのこと…!!?」

「知っていたよナミ…!!あの時お前の行動がどうしても信じられず我々はノジコに問いつめたのだ…村中のみんなが知っている」

ウィルは風車を帽子につけたゲンと呼ばれる男を見てから、驚き口を開いたまま硬直するナミに視線を戻した。恐らくこの男がナミにとって親しい間柄なのだろうというのは雰囲気から見て取れた。

「だがお前がそれを知ってしまってはおまえがここを逃げ出したいと思ったとき私達の期待が足を引っ張ってしまうと知らぬフリをしていた」

「そんな…!!!」

「君等は一体何の話をしてるんだ 要するに村中が泥棒だからみんな捕まえてくれとそう言っているのかね」

「あんたら政府の人間が頼りになんないからあたし達は一人一人が生きるため戦ってるって言ってんだよ!!」

新たな声がした方に目を向けるとそこにはついさっき会ったばかりのノジコがいた。ウソップやサンジとの話は終わったのかと思いながらもウィルはただ冷静に状況を傍観する。

「村を救ってくれる気がないんならさっさとここから消えな!!ぐずぐすしてるとあんたの船もアーロンに狙われるよ!?」

「………ほォ アーロン氏に?それはどうかなァ………チチチチ…」

「え」

意味深にそう言ったネズミの海兵に思わずナミの不安げな声が漏れた。そうか、この海兵とアーロンはグルなのか。ーー海軍とは名ばかりのとことん汚い人間に虫酸が走り、ウィルは冷めた表情で彼を見つめた。

「まだ見つからんのか!!?米粒を探してる訳じゃねェんだぜ!?一億ベリーだ!!見つからねェはずがあるまい」

「おい貴様 なぜ金額を知っている!!!」

「ん?ああ…一億……まァそれくらいありそうな気がしたんだ チチチチ…」

「まさか………!!!」

ナミの顔色が一気に蒼白に変わり、チチチチ、と不気味に笑う海兵に向かって声を荒げた。

「まさかアーロンがあんた達をここへ!!?」

「さァねェ…私達はただ政府の人間として泥棒に対する当然の処置をとっているだけだ」

「!!?…何という腐った奴らだ!!!」

「海軍が海賊の手下に成り下がるなんて!!!」

「……!!!(アーロン!!!)」

「出て行ってもらえ 捜索の邪魔だ」

「はっ!!!」

ナミ達に銃を向けて躊躇いもなく引き金を引いた兵達を尻目に、ウィルは放たれた弾丸全てを瞬時に氷屑に変えた。

「!?」

「どういうことだ!?弾丸が…!」

「ああ!?何をモタモタしてやがる!さっさと撃て!!」

「それは出来ればやめておいた方がいい。おれの機嫌を損ねたくなければな」

「…っウィル!?」

「あんた…」

音もなく現れたウィルにナミがなぜ、と目を見開いた。そんな中、ネズミは不機嫌そうに顔を歪めながら端正な顔立ちをした男を睨みつけた。

「おい、何をボーッとしてる!人数が増えようが出て行くまで撃ちまくれ!!」

それを合図に、突然現れた見目麗しい男に向かって複数の弾丸が彼に迫る。

「危ない!避けな!」

「へェ…よほど死にたいみたいだ」

それまでどこか気だるげだったウィルの瞳がギラッと鋭い目つきに変わり、引き金を引いた海兵達は瞬く間にぶくぶくと泡を吹いてその場に倒れた。

ウィルに向かって来ていた弾丸は例のごとく氷漬けにされており、それを目前で見たネズミは一体何が起こっているのかと目を白黒させた。

恐る恐るウィルの顔を目にしたネズミはみるみるうちに顔色をなくし、身体中の毛穴から汗が吹き出るのを感じ取った。

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