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ルフィを筆頭にウィルを抜かした麦わらの一味がアーロンパークに向かって数分が経った。

ウィルは道の真ん中に力なく座るナミの元へ行くとしゃがみ込み、徐に自らの衣服の袖部分を裂きはじめた。

ビリッビリッ

「…ウィル…?」

「応急処置だ。その辺の分野には詳しくないからこれぐらいしかできないが」

慣れない手つきでグルグルとナミの傷口に裂いた衣服を巻きつけるウィル。
一度だけでなく何度も彼に向かって暴言を吐いたにも関わらず衣服を裂いてまでして怪我の手当てをしてくれているウィルにナミの目からまた涙が溢れた。

「すまない 痛かったか?」

「ううん 違うの。…嬉しくて」

「…嬉しい?」

怪訝そうな顔をするウィルにナミが続ける。

「ウィルがこうして手当てしてくれてる事が。私はあんた達に失礼なこといっぱい言ったのに」

「心配するな。ルフィもあいつらも気にするようなタマじゃない」

「でも…」

「できた。格好はあれだがないよりはマシだろう」

かなり不恰好に巻かれたそれを見てナミが僅かに笑みをこぼした。

「ありがとう。ウィルったら何でもできると思ったら実は不器用だったのね」

「これでも丁寧にやったつもりだ」

「そうよね。ふふっ ありがとう」

頬を緩めるナミにつられてほんの僅かだがウィルの顔にも笑みが浮かんだ。それを間近で見ていたナミは思わず固まった。

普段笑わない、クールで常に無表情の人間が微笑むだけでも珍しいのにそれが稀代の美少年ときた。
不可抗力にも赤面したナミ。そしてそんな彼女の視線に気づいたウィルはジッとナミの目を見つめた。

「な、なによ」

「?いや 何か言いたいことがあるのかと思ったんだが」

てっきりナミが自分を見つめてくる理由は何か自分に話しがあるからなのかと勘違いしたウィルにナミはこの鈍感男が、と心の内で呟いた。

「なんでもない。あ、そうだ あんた手の平の傷はどうなったの?」

「ああ もう治ったよ」

「治ったって…こんな短時間で治るわけないじゃない!手当てしてくれたお礼に私も手当てしてあげるから手出しなさい」

「だから治ったって」

「つべこべ言わないの!」

ガシッとウィルの手を掴んで半ば無理やり手を開かせる。手の平の傷を確認するとナミはウィルと同様に衣服を裂いた。いや、裂こうとした。

「何をしている」

衣服を裂こうとするナミの腕をウィルがすかさず掴んだのだ。

「何って…見てわかるでしょ?手当てするのよ。わかったなら手離して」

「おれはいい。女が軽々しく服を破くな」

「あら、私の心配してくれるの?優しいのね」

「いいから。破くな。わかったな?」

「はァ…わかったわよ」

ウィルの有無を言わさない雰囲気に根負けしたナミは何をそんな必死に、とため息をつきながらも了承するのだった。

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