007
「全く…相変わらず手がかかるね、お前は」
クロの海賊船から離れたウィルは海岸で探していた人物を見つけるとフッ…と僅かに微笑み、柔らかい眼差しでいびきをかきながら眠るルフィを持ち上げた。
「気配がすると思って来てみたが…正解だったようだ」
ルフィの服についた砂利をパラパラとはたき落としてから、ウィルは音もなくルフィ諸共その場から消え去った。
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「ウィル!って、ルフィはどうして寝てるのよ?」
「お、帰ってきたのか」
夕暮れ時に差し掛かり、村に戻ってゾロとナミの気配のする方を歩いて行くと案の定二人がそこにいた。ルフィとウィルの帰りを待っていたのか、ナミが捜したんだからねっ!と一言付け加える。
「さぁね?おれはただ見つけて拾ってきただけだから」
「さぁねって…ルフィと一緒にいたんじゃないの?」
「いや。一緒にいたわけじゃない」
「じゃあなんでお前ルフィの居場所が分かったんだ?」
「ああ、ルフィの気配がしたからね。気配が分かれば居場所の特定は難しいことじゃない」
「え!!気配で居場所がわかるの!?」
「気配で居場所が分かんのか、そりゃ便利だな」
「大したことではないけど…まぁ、余りにも離れていたら流石にわからないかな」
「………(それでも十分すごいわ、本当に常人離れしてる…強さもそうだけど、この人美形とかの騒ぎじゃないわ)」
ボーーッと自分の顔を見て固まるナミにウィルは不思議そうに彼女の瞳を覗き込む。
「どうした?」
「えっ!?あっな、なんでもない!そうだ、そういえばさっきあのキャプテンが血相変えて走って行ったんだけど」
「鼻の長い彼か。そうだな、その話をするならルフィを起こしてからにしよう」
そう言うや否やウィルはルフィの頬をペチペチと叩く。
「ルフィ、起きろ。ルフィ。いつまでも寝ているわけにいかないだろう」
「んん〜…ん?ウィル…?」
「ああ。おれだ。ルフィ、さっき何があったのか話してくれるか」
「おう!って執事は?」
「だからお前にその話をしてくれと言ってるんだ。…何があった?」
ゆっくりと話すウィルの言葉に頷いてルフィがウソップと見た海岸でのやり取りをゾロとナミ、ウィル、それに子ども三人に伝える。話が進むにつれて見る見るうちに顔の強張る子ども達はさて置き。ウィルは予想通りだ、と一人今後の展開を脳裏に馳せていた。