09
 
「みなさんお疲れ様です 無事湿原を抜けました ここビスカ森林公園が二次試験会場となります」

ヒソカと別れた後、私達は気絶したままのレオリオを抱えて二次試験会場まで辿り着いた。会場までの道のりをなんで私が分かるのかゴンとクラピカが不思議そうにしていたが説明が面倒で勘だと言っておいた。

「お、キルアみっけ」

「レン!ってうわ、抱きつくな!」

「何でだよ、生きて会えたらハグするって約束したろ?」

「お前が勝手に約束したんだろ!ーーまぁでも無事でよかったよ」

「ありがとう キルアも凄いな その顔見れば一次試験余裕で合格だったんだろ?」

「そうだけど 別におれの家ではこれが普通だし」

「そうだとしても凄い事には変わりないだろ?えらいなキルアは。よく頑張ったよ」

「おう…」

よしよしとキルアの頭を撫でる。しかしおれの家ではこれが普通とは一体…。なんとなく今問いただすべきではないという判断に至った。撫で続けているとキルアは下を向いて顔を上げない。察するに照れ臭いのだろうか耳が赤い。私にもこんな弟が欲しかった。

「あ、もちろんゴンとクラピカもよく頑張ったよ 二人とも偉い偉い!」

「私達を子供扱いしていないか、レン」

「まさか 偉いと思ったから撫でてるだけで子供扱いなんてしてないよ なぁゴン」

「うん!オレ、レンに撫でれるの好きだよ」

そう言ってえへへ、と笑うゴンにきゅんと胸が高鳴る。一言で言うと可愛い。思いっきり抱きしめたくなる。なんだこの可愛い生き物。

「それはそうと、そろそろレオリオを起こさなくてはいけないな」

「あ、そういえばそうだった おーい、レオリオ起きろ!」

ペチペチと頬を叩いて見るがレオリオが目を覚ます気配はない。
よし、もう少し力を入れて叩いてみよう。

バチンッ!!

「ってぇええええ!!!なんだ、誰だ今の!?」

「すまん、力加減を間違えた」

「すげぇビンタだったぞ今の…」

赤く紅葉型の跡がついた頬を撫でながらレオリオが私に視線をやる。なんだその恨めしそうな顔は。一応ここまで運んできてやったのは私なんだぞ。

「お前なぁ!もう少し優しく起こすってことが出来ねぇのか?危うくもう一度眠りにつくとこだったぜ!」

「最初優しく起こしたんだがお前が起きようとしないからな 少し力を入れたらこのザマだ」

「いやこのザマだ、じゃねーよ!お前には思いやりってもんがねーのか」

しょうがないだろ?というニュアンスを含んで言えばどうしたものかレオリオは更に眉間にシワを寄せた。

酷いな、ここまで運んでヒソカから守ってやったのも私なのに。ぶーっと唇を尖らせているとゴンが一歩前に出た。

「そんな言い方ないよ、レオリオ!」

「そうだぞ。レンは気絶したお前をヒソカから守り、更にここまでお前を担いで来たんだ それをよくもそんなセリフが吐けたものだな」

「うっわーサイテーだなおっさん」

少し怒った顔のゴンと呆れた表情のクラピカ、キルアの軽蔑の眼差し。極め付けはレンのしょんぼりとした顔にレオリオは謝罪の言葉を口にする以外選択肢がなかった。

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