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「ウーン、これは一体どういうことだろうねェ◆」
ヒソカは水気でペタッとレンの顔を覆う様に張り付く銀色の髪をどかし、意識のないレン見つめた。自分から逃げようとして足を踏み外したレンが海へと落ちる。
そこまではよかった。
だがその後、どうにも様子がおかしかった。中々海から上がって来ない。バチャバチャと海の中でもがくレンを見て瞬時に察し、”伸縮自在の愛”をつけようとしたがレンが海の中に沈む方が一足早かった。
ヒソカは海に飛び込みレンの手を掴むと一気に陸まで上がった。レンの顔から顎に伝う海水をペロリと舐め上げてシニカルな笑みを浮かべてヒソカは口を開く。
「キミの苦しそうな顔見るのもだいぶソソられるんだけど 今死なれちゃ困るからね◇」
難しそうな顔をして固く瞳を閉じるレンを見ていると遠くから見知った人物がやって来るのを見つけてヒソカが軽く手を上げた。
「やあイルミ◆」
「やあ じゃない 電話したのに出ないとか何」
「電話?ああ、ゴメンそれなら壊れちゃった ホラ」
「はぁ?何があったわけ ていうかソレ何」
「ん〜、この子が海で溺れてたからさ 助けてあげたんだ ボク優しいから☆」
「ヒソカが溺れてる人間をわざわざ面倒な事してまで助けるわけないんだよね もしかしてソレがさっき言ってたやつなわけ?」
「ヒドイ言い様だなぁ そうだよ。レンって言うんだ。あ、ボクのだからイルミは手出さないでね◇」
「別に興味ないしキル以外興味ないから それよりソイツ、なんでそんなびちょびちょの服着てるわけ?脱がさないと肺炎起こして死ぬよ」
「そうだね◆あまりに綺麗な顔で寝てるから眠り姫かと思ってうっかりしてたよ」
「眠り姫とか意味わからないし 脱がすならとっとと脱がしなよ」
「ハイハイ」
イルミに急かされヒソカはレンの服に手を掛けるとワイシャツのボタンを一つ一つ外していく。イルミは感情の見えない瞳でその様子を黙って見ている。ワイシャツを脱がし終え、次に現れたのは胸に巻かれたサラシだった。
「あれ ソイツ女だったんだ」
「うん◆それより無抵抗な女の子の服脱がせるこのシュチュエーション、イケナイ事してるみたいでゾクゾクしない?」
「しない」
「わかってないな◇イルミは」
「わからなくていいしわかりたくもない」
「そ、残念」
言いながら次にズボンを脱がせると白く艶やか肢体が顔をのぞかせた。いくら人命救助の為とは言え、やはり成人男性二人の視線は思わずそこに注がれる。
「うん いい足だ このくらいの肉つきが一番ソソるよね◆」
「ヒソカ変態くさい 何楽しそうな顔してるの」
「そんなこと言ってイルミだって目逸らさないよね◇欲情した?」
「冗談やめてよ 別に逸らすまでもないから見てるだけ」
「へェ…そうだ これってサラシも取った方がいい?」
「当たり前」
「了解★」
キツく巻かれたサラシの谷間の部分に指を突っ込んでサラシを剥ぎ取ろうとしたヒソカはサラシ越しでもボリュームのある胸の存在ににやりと笑みを浮かべ、イルミを見た。
「かなり豊作だよ これじゃ今まで苦しかっただろうねぇ◆」
「ふーん じゃあヒソカ好みの身体ってわけ よかったね」
「ま、ボクは身体なんかよりこの子の素質に惹かれたんだけどね◇イルミも見たろ?地下から上がってきた後の彼女を」
「ああ、あの氷柱出したやつ?」
「冷徹な眼差しで迷いなく殺そうとする彼女を見てこれまでにないくらい興奮したよ◆」
「ヒソカが興奮したかしてないかなんて聞いてないから でもソイツ、何系の念能力者なわけ?凝で見てたけどオーラが何も見えなかったんだよね」
「それはボクも考えてたんだけどよく分からなくてね 今考え中なんだ★」
ヒソカはレンのサラシに手をかけながらオーラを持たないという異質な彼女の存在にさらに笑みを深めた。