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何か身体がもぞもぞする。寒いな、人が寝てるのに毛布をとるなんてあんまりだ。凍えて死んだらどうしてくれる。
誰かが私の毛布を剥ぎ取ろうとしている。取らせるものかと対抗して力を入れると更にそれより強い力で毛布を取ろうとしてくる。
ブチッとキレて私は目を開けた。
「ふざっけんな!!寒いんだよコルァ!!」
「あ 起きた」
「眠り姫のお目覚めだ。クククッ おはよう ボクの可愛いお姫サマ◆」
「は……、え?」
「驚いた顔も可愛いなァ そうだ、レンって意外と胸大きいんだね◇」
「それ本人に言うとか本当ヒソカって性格悪いよね」
「心外だな 褒めてるのに☆」
私はこの意味不明な状況に頭が正常に回らなかった。なんで目の前にヒソカがいるのか。そしてその隣にいる黒髪長髪の男は誰なのか、更になぜ私はパンツとサラシしか身に纏っていないのか。
何か胸あたりがひんやりする。下を向くとヒソカの指が2本サラシの中、もっと言えば谷間の間に入っていることに気づいて発狂した。ひんやりしているモノの正体は私の素肌にヒソカの指が触れていたからだった。
「ぎゃああああああ!!おおおお、お前ふざけんな!!抜け、さっさとこの指抜け!じゃなきゃ今すぐに!おれが!この場でその腐った指を切り落とす!!!」
「ヒドイなあ◆人命救助の為に脱がそうとしただけなのに でもまぁ起きちゃったからしょうがないか☆ほら、ヌいたよ?」
ヒソカがサラシの中から指を抜いた瞬間、私は瞬時にその場から離れようと能力を発動させる。だがどうしたことか身体に力が入らず、視界が大きく揺れた。
「はぁ、めんどくさ。ヒソカさ、自分の獲物ならちゃんと管理しなよ コイツまた海に落ちるとこだったんだけど」
黒髪の男に倒れそうになったところを支えられる。
「ゴメンゴメン★イルミなら受け止めてくれると思ってさ 結果オーライってことで◇」
「オレは別に結果オーライでもなんでもないんだけど」
「そう固いこと言わないでさ◆ホラ、おいでレン」
「ふざ、けるな…!誰がお前みたいな…っ変態野郎のとこに行くかよ」
さぁ、と言って腕を広げるヒソカに悪態を吐く。大体私の今の格好は何なんだ。
「確かにヒソカが変態なのは間違ってないけどさ お前、レンだっけ 助けてもらっておいて何様のつもり?」
「は?助け?」
「いいよ イルミ レンがボクに冷たいのは愛情の裏返しってやつだからさ◆」
「ヒソカがいいならいいけど 感謝ぐらいしたら?ヒソカが助けなきゃお前今ごろ海で溺れて死んでるよ」
海で溺れて…?私はなかなか回らない頭をフル回転させて考える。……!!そうだ、そういえば私、ヒソカから逃げようとして海に落ちたんだった。
「まさか、溺れたおれを助けてくれたのって…」
「そ ボクだよ★」
パチンとウインクをして私を見つめるヒソカにサァアと顔が青くなるのを感じた。
ヒソカは嫌いだ。それはもう大体が気持ち悪さから来るものだけど、流石に助けてもらっておいてさっきの言い分はまずかった。このイルミと呼ばれた長髪の言い分は最もだ。
いくら嫌いな奴でも命を助けられたのだ。それがそいつのせいで命の危機にさらされたとしても。笑みをたたえたまま尚も腕を広げて私を見つめるヒソカの目の前まで歩いて行く。