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「す、すごい!服が…!」

「気に入ったかい?」

「うん 質感は本当の服って感じじゃないけど見てくれは完璧に服だからな」

「そう 気に入ってくれてよかったよ◆」

「服までありがとうな ところでこのデザインはヒソカの好みか?」

ヒソカが”薄っぺらな嘘ドッキリテクスチャー”という能力で再現してくれた服のデザインは黒地のワイシャツだった。胸には赤でクローバーとスペードのマークが記されている。ズボンは普通にどこにでもありそうなズボンだった。

「そうだよ ボクとお揃いのマークなんだ◆」

「…(なんでこの変態こんな嬉しそうなんだ?)」

「一ついい?」

ニコニコと笑みを絶やさないヒソカが一体なにを考えているのか疑問に思ったがイルミから声を掛けられて私は後ろを向いた。

「さっきから思ってたけどなんでそんなダルそうなの?どうも海で溺れただけが原因とは思えないんだけど」

「え?あぁ、おれ悪魔の実の能力者だからさ。海に入ると力が抜けてカナヅチになるんだ お前らも何かしらの能力者なんだろ?」

そこまで言って私は考えた。まてよ、もしヒソカが悪魔の実の能力者ならどうやって私を海の中から助けたんだ。同じ能力者なら海に飛び込むなんて無謀なマネはしないはず。ならどうして?さっき使っていたあの能力はなんなのか。

いくつもの疑問が浮かんでヒソカに聞いてみようと顔を上げるとヒソカが不思議そうな顔で私を見ていた。イルミも私をジッと見つめている。表情こそ変わりはしないものの、イルミが不思議がっているのが伝わってくる。

「悪魔の実…?」

「そんなの聞いた事ないけど 裏の世界で流通してるヤツ?」

「本当に知らないのか? 悪魔の実と言えば誰でも知ってると思ったけど」

「オレそれなりに裏の世界の取り引きに詳しい方だけどその悪魔の実っていうのは聞いたことない」

「ボクもだよ◇よければ詳しく聞かせてもらえるかい?」

「マジか、別にいいけどさ。 要するに悪魔の実ってのは形は果物なんだけど一口食うと特殊能力が得られる実なんだ 悪魔の実の能力者は海に嫌われてるから食ったら最後、一生海では泳げない身体になる」

「へぇ…◆」

「だからおれが海に落ちたとき自分の力で這い上がれなかったんだ 少し浸かるだけでも力が抜けるのに全身浸かったからな」

ヒソカもイルミも興味津々といった顔で聞いてくるのでなんだか説明のしようがあるなぁと一人思う。

「それでその”特殊能力”ってのは何なんだい?」

「能力っつっても色々あってな。面倒だから説明は省くけどおれは天候を操る能力者なんだ」

「なるほどね …くくくっ更にキミに興味が湧いたよ★」

「やめてくれ」

「聞いといて何だけどさ そんなベラベラ自分の能力バラしちゃっていいの?」

「まぁバラしたところでおれが不利になるわけでもないしな 言っただろ?おれは天候を操れるんだ。その気になればこの世界なんて一瞬でメチャクチャにできる」

私が食べた悪魔の実の名はウェザウェザの実。文字通り天候を操る能力だ。海軍が血眼になって探し求めていた史上最悪の悪魔の実らしいが食べてしまったものは仕方がない。なんせ食べるまで何の能力か私だってわからなかったんだ。

「天候を操る、ねぇ◆じゃあ今この場に雷を落とせたりもするのかい?」

「うん まぁ聞くより見た方が早いよな。ーー”ラムズ”」

ピカッ…
ドーン!!!

「……!」

「……」

その辺に雷を落としたレンを見て嬉々とした、どこか危ない表情のヒソカと僅かに口を開いたまま感情の読めない瞳でレンを見つめるイルミ。

やり過ぎたかと後悔しても既に遅く、この事がきっかけとなりイルミまでもがレンに興味を持つことになったのはまた別の話だ。

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