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飛行船に乗り、次なる試験会場を目指す。指定の時間までは自由行動らしく、早速私はゴン達の方に行こうとしたのだがーー
「なぁ、なんでお前らおれのそばにひっついてんの?鬱陶しいんだけど」
「暇だから」
「いいじゃないか★どうせ自由時間なんだしさ」
「自由時間だからこそ一緒にいたくないんだが 特にお前とは」
「いい加減素直になりなよ◆裸で抱きしめ合った仲だろ?」
「…っ!おい、声がデカイし嘘つくな!周りに怪しまれたらどうするんだ!」
「ボクは全然イイよ★」
「おれが!よくないんだ!よ!」
何をバカな事を言ってるんだこの変態奇術師は。お前の心配をしているわけがないだろう。全部私の保身の為だ。もし変な噂が流れてあいつら実はデキてるんだぜってことになったらゴン達に合わす顔がない。
そして私は何より今は男として認識されているわけで、男同士で…なんて想像されたらたまったもんじゃない。それが男同士じゃなくてもヒソカなんかと噂になんてなりたくない。
「思ったんだけどレンって恥ずかしがり屋だよね さっきといい」
「は、恥ずかしがり屋ってな!当たり前だろ、あんな姿誰にも見られた事ないんだぞ」
「へー じゃあオレ達が初めてなんだ」
「初めて、か イイ響きだね◇」
「語弊を生むような言い方するな!いいかお前らさっきみたのは忘れろ 脳内から消し去れ」
「レンも無茶なコト言うね 無理に決まってるじゃないか◆あんなにボク達の視線を釘付けにしておいて」
「ヒソカと一緒にしないでほしいんだけど 別にオレはレンの裸見たところで欲情しないし」
「だからそう言う話をしてるんじゃねー!ヒソカ、お前少しはギタラクルを見習えよ」
「ん〜ムリ だってボク、レンのそばにいるだけで欲情しちゃうし★」
瞬時に蘇る鳥肌地獄。自分の身体を抱き締める様にヒソカから距離を取ると横でギタラクルが腕を広げていた。ん?どういうことだこれは。
「あのーギタラクルさん、その広げている腕は一体…?」
「おいでって意味」
「は…?」
おいで?ん?おいでとは。どういう事なんだ。もしや私にそこに飛び込めと?
「つかぬ事を聞くが一体どういう意味なんだ?」
「あーあヒソカから遠ざけてあげようとしたのに やっぱレンはダメだね キルだったらすぐ飛び込んでくるよ」
「え!キルアって腕を広げたら飛び込んできてくれるのか!?」
「うん 6年ぐらい前まではね」
しれっとそう答えるギタラクルに危うく6年前かよ!とツッコみをいれるところだった。
いや、でも腕を広げたら飛び込んで来るキルアとか絶対可愛いだろうな。いいな〜なんて思わず頬を緩めていると後ろからまるで抱きしめられるかのような形で腕が回って来た。