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「ボクならこうしていつでもレンを抱き締めてあげられるよ もちろんその逆も大歓迎◆」
「頼んでないしひっつくな!そもそもおれが好き好んでお前に抱きつく訳ないだろ」
「相変わらずツレないね◇そんなところもいいんだけど」
後ろから回ってくるヒソカの腕を外そうとすると何を思ったのか奴は私の肩に顎を乗せて来た。その瞬間、首筋辺りにヒソカの吐息がかかって反射的に身を竦める。擽ったさに息がかかった首筋を押さえた。
「…っ!」
「首が弱いのかい?でも確かキミは耳も弱かったよね◆」
「ちょ、やめっ!」
「ストップ」
段々とヒソカの顔が耳に近づいてくる気配を感じて慌てていると様子を見ていたギタラクルが私を引き寄せた。
「ギタラクル?ありがとう助かった」
「何のつもりかな」
「レンは将来ゾルディック家の人間になるかもしれないから一応ね」
「はい?」
まるで世間話をするかのようにサラッとそう言ったギタラクルに思わず思考がフリーズする。
「へェ…◆ボクの獲物を横取りするつもりかい?」
「結果的にそうなるのかもね でも安心していいよ レンの遺伝子を持つ子孫さえ残せればオレはそれでいいから」
「その話の流れだとボクはさしずめレンの愛人ポジションかい?」
「うん」
待て待て待て。何かおかしい。本人を抜きに何やら色々決められている気がするのだが。てかギタラクルよ、私の遺伝子を持つ子孫ってどういうこと?まさか嫁げとかそういう類の話じゃないよね?
「確かにそういう危ない関係も楽しそうだ◆」
いや楽しそうだじゃねーよ!何の話だ!
「だけど断るよ 元よりボクが目をつけた獲物だし誰かにやすやすと渡す気はないよ 例えキミでもね◇」
何やら不穏な空気が漂いそうだ。やめてくれ、こんな所でこいつらが問題でも起こしてみろ。私も同類と見られる可能性が大だ。
「おい、何だか知らねーがおれはゾルディック家になんてならないしヒソカの愛人なんかにもならねーぞ」
「ホラ、レンもこう言ってることだし潔く諦めた方がいいよ◆ギタラクル」
「それを言うならヒソカもだよね」
二人が沈黙したことで再び雰囲気がトゲトゲしくなった。見てみろ、周りなんていつ自分に飛び火が来るんじゃないかとビクビクしてるじゃないか。
いや、でもわかる。顔中針がぶっ刺さったモヒカンと知る人ぞ知る変態奇術師がバチバチ睨み合ってたら怖いよな。
「お前らが喧嘩しようとおれにはミジンコくらいにどうでもいいけどな!おれを巻き込むな!」
「レンがゾルディック家に嫁ぐなら済む話なんだけど」
「ダーメ レンはボクのお姫サマだしレンの王子サマもボクだからね★」
「は?んなわけないだろ頭沸いたか変態。あとギタラクル、お前は話が急すぎだし何度も言うがおれはゾルディックになるつもりはない」
「ふーん じゃあゾルディックになりたくなるように仕込むしかないか」
仕込む!?一体何をどう仕込むんだ。怖いなコイツ。声に抑揚がないから余計に怖い。ヒソカが変態的怖さならギタラクルは身の危機的怖さだ。
「とにかく!この話はもうやめろ やめないなら本当におれがどっか行ってやるからな」
周りの目もあるしこれ以上の騒ぎは避けたい。とりあえず私の中でわかったのは一つ、この二人といると疲れると言うことだった。