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「皆様大変お待たせいたしました 目的地に到着です」

アナウンスが鳴ったと同時に目を覚まして窓の外を見るクラピカとレオリオを発見して私は今がチャンス!と彼らの方に走った。走り去っていった瞬間ヒソカがこっちを見て怪しげに笑っているが見なかった事にする。そして横にいるギタラクルは微動だにしていなかった。

「クラピカ!レオリオ!おはよう」

「レンか おはよう」

「おー。ってお前目の下クマすげーぞ 寝なかったのか?」

「うっ…寝れる状況になかったんだよ…」

「なんだ、やっぱお前も緊張して寝れなかったってクチか?」

「や、緊張じゃなくて」

「よっレン」

「キルア!おはよう!!」

後ろから聞こえてきた可愛い声の持ち主にぎゅっと抱きついた。ふわふわと柔らかい髪の毛を撫でくり回せば私の腕の中でキルアがもぞもぞと動く。

「おいやめろよ!離せ!」

「何でだよ いいじゃないか!減るもんじゃないんだし」

「そういう問題じゃねーよ!男同士で抱きつくとか気持ちわりーだろ!」

「え」

「な、なんだよ(言い過ぎたか…?)」

「キルアは男同士で抱きつくのは嫌?」

「嫌、っつーかキモいだろ」

「そうか」

つまり私が女の姿なら抱きついてもオッケーという事だな。これでキルアを抱き締めるのに大義名分ができた。

「で、結局そのクマの原因はどうしたんだよ」

「ああ、おれな、昨日お前らを探してたんだよ。そしたらクラピカとレオリオは見つけたけど寝てるから話せないしゴンとキルアはいないしでちょっと寂しかったわけだ」

「そうだったのか。レンが一人でいるとは知らず、すまなかった」

「や!謝らなくていいよ!ていうか謝らないでくれ なんかおれが惨めになるから」

「オレとゴンは会長のじいさんとボールの取り合いしてたからなー」

「あ、そうなんだ だからいなかったのか。納得」

「それでレンはずっと一人だったのか?」

クラピカの問いにピクリと片眉が動く。なんとも居心地の悪い半日を過ごしたものだ。できればもう二度とご遠慮願いたい。

「それがおれ ヒソカとギタラクルに捕まってな 寝かせてもらえなかったんだ」

「なに!?無事だったのか?」

「ギタラクルって…あの顔面に針がいっぱいぶっ刺さったヤツ…だよな?」

「うわ その二人と一晩一緒とかもう拷問じゃん」

「だろ?しまいにはあの針野郎、寝なくても最低3日は持つ身体にしなきゃダメだとかほざくしヒソカはヒソカで寝ようとしたら気持ち悪い笑顔でおれの顔面をじーっと見つめてくるからもう寝られたもんじゃないんだよ」

「へェ、寝なくても最低3日か…ギタラクルってやつ暗殺関係の人間?」

「え!?し、知らないなぁ」

キルアの核心を突くセリフにドキッ!とする。バレたか!?バレたのか?寝なくても最低3日っていうフレーズだけで気付くもんなのか!?

いや、でも例えバレたとしてもギタラクルはハンターの資格を取りがてらキルアの様子を見てるだけだって言ってたから最悪バレても大丈夫だよね。
キルアの監視がメインじゃないんだし。

「本当かよ?」

「本当だ!酷いぞキルア、おれを疑うのか?」

カモフラージュがてらにまたキルアをぎゅうっ!と抱き締めると再びキルアにやめろ!と怒鳴られた。ほんのり照れながら怒鳴られても怖くないんだよな〜むしろ可愛いんだよな〜と思いながら私はキルアを抱き締めるのだった。

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