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「はぁ。ったく とんだ無駄足だったぜ」
「まったく 無茶をする」
「心配して損したぜ」
「ごめんよクラピカ。ってレオリオ、お前心配してくれたのか?」
「べ、別にお前を思ってじゃなくてだな。目の前で死なれちゃ目覚めが悪いからだ、勘違いすんなよ!」
レオリオがほんのり照れくさそうに視線を泳がせるのを見て思わず吹き出した。
「ブフッ!お前ツンデレかよ 意外とお茶目なところもあるんだな」
「テメー!いいかげんに…おい!待てレン!こっち来い、オレを怒らせたこと後悔させてやるぜ!」
「バーカ!待てと言われて待つバカがどこにいる 悔しかったらここまで来てみぶぉっ!!」
後ろを向きながら走っていたため、前にいた人物に気づかずダイレクトアタックしてしまった。顔の側面を強打したことによる痛みで少し涙目になる。しかしぶつかった相手も中々に屈強な身体をしている。顔が曲がるかと思った。
「すまない。おれの不注意だ 怪我は…」
「ボクなら大丈夫だよ◆レンこそ怪我はない?」
「ヒ、ヒソカ…!うわっ!」
「ウン 怪我はなさそうだね◇」
ひょいっと軽々とヒソカの腕に抱えられる。抱えられたままぐるっと身体を反転させられたりして怪我の有無を確認された。それにしてもコイツなんで真剣に私の怪我の心配してんだ?頭でも打ったのか?…いや、頭がおかしいのは元からか。
「なんだよ、いきなり」
「キミとは万全の状態で闘りたいんだ☆怪我をした状態のレンとヤっても楽しくないからね」
「は?あー、お楽しみにしてるとこ悪いけどおれお前と闘う気とかないから」
「闘えない理由でもあるのかい?」
「しなくてもいい闘いはしたくないんだ。面倒だし それに多分お前相手じゃおれが不利になる」
「不利?」
「ああ。お前戦ってる途中、殴られて喜んだりするだろ?おれお前みたいな規格外の変態と戦ったことなくてさ。一言で言うとキモくてムリってのが妥当だな」
「随分辛辣だね でもそれは困るな◇」
「それはこっちのセリフだ」
「レン、テメー…!ってヒソカ!?」
「おやおや◆彼とは楽しく追いかけっこかい?」
「追いかけっこっていうかな…」
「妬けるじゃないか★」
何を思ったのか私を抱えたままヒソカがその辺を歩きはじめ、暫くすると突然立ち止まり、しゃがみ込んで地面を触る。
「ここかな」
「は?なにが…っ!?」
ガコンッと音がした途端浮遊感を感じて私は反射的にヒソカの服をギュッと握る。それに気を良くしたのかヒソカがにっこりと私を見つめて笑った。くっ、選択肢を間違えた。
「おいレン!」
「じゃ バイバイ☆」
レオリオの私を呼ぶ声とヒソカの楽しそうな声が聞こえて来る。能力を使いたくてもヒソカが何を考えているかわからないし、かと言ってこのままヒソカに抱えられているというのも癪だ。
そんなことを考えている内に私とヒソカはトリックタワーの内部へと入って行ってしまった。