25
「なぁ、もう10時間は歩いたよな?」
「残念だけどまだ6時間だよ◇」
迷路のような通路を歩き回ること6時間。私の感覚的には10時間だったがヒソカが言うにはまだ6時間しか経ってないらしい。
「一体いつになったらクリアできるんだ?もしかしてさっきの分かれ道は左に行くべきだったのか?」
「いや こっちであってるよ その証拠にホラ☆」
ヒソカが目の前の壁を軽く押すとゴゴゴ…という音を立てて道が拓けていく。
「ヒソカ ナイス!」
「喜んでもらえてよかったよ」
「やっとゴールだよな?」
「うーん そうでもないみたいだね◆」
拓けた道を進むと密室に繋がっていた。その密室の中に一つ気配を感じてゴールだと緩んでいた気を少しばかり引き締める。
「待ってたぜ ヒソカ っと、どうやらオマケまで連れて来ちまったみてぇだな」
突然ヒソカのオマケ扱いをされて頭にきた。誰が誰のオマケだと?
「おいヒソカ 誰だこのクソほど失礼な腐れ野郎は」
「ん〜確かボクの記憶が正しければ去年半殺しにした試験官、かな」
「その通り だが今年は試験官ではなくただの復讐者としてここに来た」
「よかったなヒソカ お前のストーカーだそうだ」
「ボクはキミのストーカーだけどね★」
「胸を張って言うな気持ち悪い」
「グチグチ言ってんじゃねえ!オレは去年の試験以来ヒソカ、貴様を殺すことだけ考えてきた。このキズの恨み……今日こそ晴らす!!」
「ふーんその割にはあまり進歩してないね◆」
「あまりってことはこれでも進歩したって事か?」
「正直ボクもよく覚えてないんだ 彼は青い果実ですらなかったからねェ」
「青い果実?」
「こっちの話さ☆」
「くくく ここからだ」
一体青い果実とは何なのか。変態の考えることはわからない。幸い今の会話は聞こえていなかったのか、自称リベンジャー男は短い刀のような物をギュンギュンと回しはじめた。
「油断すんなよヒソカ」
「ボクの心配をしてくれるのかい?嬉しいよ◆」
「ちげーよ。お前が油断したらおれまで巻き添えになるからだ コレのせいでな」
カチャッと手錠がついている方の手を軽く引っ張る。
「ボクとレンの運命の鎖を”コレのせい”だなんてヒドイなぁ」
「何が運命の鎖だ!それを言うなら運命の赤い糸だろうが!」
「ウン そうとも言うね」
「ゴチャゴチャわけのわかんねーこと抜かしてんじゃねぇ!無限四刀流!!くらえ!!」
ヒソカとくだらない話をしていると放置されて痺れを切らした男が自慢の武器を投げてくる。
ギュンッ!!
「よゆーよゆ…ってなんでそっちに避けるんだよ!」
「レンこそ◇普通はボクと同じ方向に避けるだろ?」
「んなっ!テメー、後で覚えてろよ!」
グッと引っ張られる左腕にこのままでは手錠が千切れてしまうという判断に至り、仕方なくヒソカの方へと向かう。
さっさとこんなどうでもいい戦い終わらせてやってもいいのだが、ぶっちゃけ私関係ないしヒソカの撒いた種だから私は手を出さないことにした。面倒くさいから。