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あれから約30時間が経過した。流石に暇すぎて禿げそうだ。人間やることがないとこうも辛いものがあるだなんて初めて知った。

「風呂入りたい」

「確かにそれはあるね◆」

同感して頷くヒソカをチラリと横目で見る。こいつ変態の割に見た目には気を使っているのか割と清潔感漂う見てくれだ。

「そんなに見つめられると照れるよ☆」

「気持ち悪い」

「ヒソカが気持ち悪いのなんて今更だよ」

「今更って言われてもおれこの変態と出会ってまだ1日だからな ギタラクルもだけど」

「あ、そっか」

「出会った日数なんて関係ないさ ボクとレンはもっと深いところで繋がってるからね◇」

「寝言は死んでから言え」

「それもう寝言じゃないよね」

だんだんヒソカのペースについて行けなくなって遠く先の地面をぼーっと見つめた。暇だ。暇すぎてどうにかなりそうだ。

「ヒマそうだね、レン」

「当たり前だろ?やることがないんだから」

「ならキミの事もっと教えてよ 時間も余ってる事だしさ◆」

「オレもレンの能力気になる」

ヒソカの提案にギタラクルも乗り気味で二人してじっと私を見つめてくる。

「おれの事っつってもなぁ 何を話せばいいのか…」

「じゃあ無難にフルネームからいこうか☆」

「あー、フルネームね。おれはトラディア・レン 」

「あれ ファミリーネームが前なんだ?」

「え?普通みんなそうだろ?」

「オレは違うよ」

「ゾルディック・イルミじゃないのか?」

「何その変な名前。イルミ=ゾルディックだよ」

「ちなみにボクはヒソカ=モロウだよ◇」

「へぇ、お前ら名前が前なんだな」

名前が前にくるやつなんて会ったことがなかったから驚いた。いや、でも普通にあり得る話か。なんてったって世界は広いんだから。

「それじゃ次オレね 歳は?」

「今年で18になる」

「ふーんオレより6歳下か それならまだ許容範囲だよね」

「ピチピチで健康的な女の子 イイよね」

「発言が変態。通報するぞ」

「ボクには手厳しいんだね◆」

「お前にはこれくらいがちょうどいいだろ」

「さすがレン この短期間でボクをそこまで知り尽くしてるなんて☆これも愛のパワーってやつかい?」

「一体何をもって”これも”なんだ?」

「細かいことは気にしないの◆それじゃあ次。ーーキミにオーラが感じられないのはどうしてだい?」

「オーラ…?」

「まさか知らないなんてことはないだろ?」

「本来オーラはどんな弱い人間にでもあるものなんだけどね」

一体オーラとは何の話をしているのか。生憎さっぱり見当がつかない。たまにこいつらと話が噛み合わないのは前から感じていたが今回もそうだ。

「残念だがおれにはお前らが何を言っているのかがわからない」

「…そっか◆じゃあ精孔が開いてないってことかな」

「そうじゃない?あ、無理やり精孔開かせるつもり?」

ヒソカが私の背中に手を当ててくる。奴を見るとにやりと嫌な笑みを浮かべていた。

「レンならきっとすぐに纏もできるハズだから心配いらないよ」

「それもそうか」

「だから何の話してんの?お前ら ていうかヒソカ、お前のその手は何だ?」

「何も感じないのかい?」

「は?何が。お前が手を当ててる部分があったかくなってきたぐらいだよ」

「おかしいなぁ もっとこう、身体からブワッと何かが湧き出る感じとかない?」

「んーない。強いて言えばお前の手の温もりが気持ち悪くてゾワゾワするぐらいだ」

「照れなくてもイイんだよ◆」

「ヒソカ、交代。オレがやってみる」

「ハイハイ」

何の儀式かは知らないが交代で背中に手を当ててくる二人に首を竦めた。ギタラクルがやっても特にヒソカの時と変わらず触れている部分が温かいだけでなんら変わりはない。

「レンって本当に人間?」

「失礼な!今のお前よりよっぽど人間っぽい見た目してるわ!」

「もしかしたらレンは天から舞い降りて来たボクの天使なのかもしれないね☆」

無駄に綺麗にウィンクを決めたヒソカ。背中に手を当てるという謎の儀式を行った二人はどこか腑に落ちない表情で顔を見合わせた。

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