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「そんなやつほっとけよ いちいち相手してたら時間の無駄だぜ」

「そうだな!キルアの言う通りだ」

一歩踏み出そうとしていたがこのキルアの一言で私は踏みとどまった。

「その割に肩と首に傷を負っているようだがな 相性がいいんじゃなかったのか?」

にっこりと微笑むヒソカをじっと見つめてクラピカが言った。瞬間、私は嫌な汗が背中を伝うのを感じた。
まずい、この変態なら言いかねない…!

「確かにな。…そういやレン、お前その首どうしたんだ?」

クラピカの言葉にうんうんと頷いたレオリオが私に視線を向け、首筋に目をつけた。

「く、首!?ああ〜!これな!うん!実はぶつかっちゃってな。アザができたんだ」

「え?虫に噛まれたんじゃないの?」

「ゴン!?あ、そう!そうだった!虫に噛まれたんだ!ははは」

「なーんかクセーよな」

「臭くなんかないぞ!」

忘れていた。この純真無垢なゴン少年がいることを忘れていた。
キルアの疑うような眼差しにさらに追い詰められたような状況に陥る。
何をそんなに隠す必要があると思うかもしれないが嫌なんだ。

不覚にもこんな変態に首を噛まれた(?)なんて知られたくない。変な噂でも立ったらどうするんだ。

「肩の傷はただの切り傷◇首のコレは愛の検印ってとこカナ」

「愛の検印…?どういうことだ」

「そのままの意味さ 嗚呼、思い出しただけでゾクゾクしてくるよ◆」

言いながらスッ…と目を細めて微かに身体を震わせるヒソカ。私は咄嗟にこのどうしようもない変態が余計なことを口走らないよう思い切り腕を引っ張ってゴン達から離れた。

「おやおや ずいぶん積極的だね☆」

「積極的だねじゃねーよ いいか、お前間違ってもあの事言うんじゃねぇぞ」

「あのコトってなんだい?」

「だ、だから…」

「……◆」

「てめーなにニヤニヤしてやがる!!むかつくからやめろその顔!」

何故か言葉にしようとすると恥ずかしくて、言い淀んでいると楽しそうなヒソカの顔が視界に映った。その余裕そうな顔になんとも言えない苛立ちを感じてギロリとマッドピエロを睨みつける。

「そのだよ ボクを惹きつけて離さない…◇」

「離れろ気持ち悪い!」

「そんなヒドイこと言わないでさ」

「だから必要もないのにそんなに顔を近づけるなって…!」

「ねぇ 二人ともうるさいよ」

ヒソカが顔を近づけてくるのに対しグググっとそれを押し返しているとここ数日の間で聞き慣れた声が聞こえた。イルミ…いや、ギタラクルだ。

「うるさいのはおれのせいじゃない!この変態が気持ち悪いのが原因だ」

「しょうがないじゃないか☆キミが誘ってくるのが悪い」

「誰がいつどこで誘った!」

「どうでもいいけど周り見て見なよ」

はぁ?と言いつつギタラクルの言う通り周りを見てみるとかなりの受験者達が私達の方を見ていた。その中には当然ゴン達の視線もあるわけで。

「クソっ!お前のせいでゴン達にまで同類と思われてたらどうするんだ変態!」

「ん〜ボクが責任とってキミと一緒にいてあげるよ◆」

「断る。まだギタラクルの方がマシだ」

「だって。ってわけでヒソカ、レン貰っていくね」

いや、そういう意味でもないんだが。あくまでヒソカといるくらいならギタラクルの方がマシだという意味合いであり、私はゴン達の元へ帰りたいのだ。

「だからキミには渡さないって言っただろ?しつこいよ レンはボクの獲物だ◇」

「ヒソカこそ オレはレンの遺伝子が欲しいだけって言ってるのなんでわからないかな」

無言でお互いを見つめ合う二人を視界に入れながらそろりそろりと私は気づかれないようにその場を離れるのだった。

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