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「レン、気づいてんだろ?」
「もちろん。バレバレすぎて心配になってくるレベルだ」
「だよなー。オイ、聞こえただろ?時間のムダだぜ いくら尾けまわしたってオレらはスキなんかみせないよ」
「悪いことは言わないからよ 正々堂々勝負しようぜ?」
しばらくキルアと歩いていたのだが、ずっと後ろをついてくる気配にいい加減苛立ってきた。尾けるならもっと上手く尾けろ。こんなんじゃ気づいて下さいと言ってるようなもんだ。
「来ないならこっちから行こっと」
「戦意喪失したんなら大人しくプレート差し出すのもありだから考えとけよー」
「ホントいやなんだよなーどうせ倒したって1点だろうしさぁ」
「それはまだ分からないぞキルア もしかしたらターゲットって可能性もある」
「でもそれ何分の一だよ」
「そうなんだよなー」
気配のするほうにキルアと進んでいるとそこに新しく二つの気配が加わった。ふむふむ、一気に3個もプレートゲットか。悪くない。
「兄ちゃん!!」
「ちょいと手間どっちまった」
「そっちはもう終わってるよな」
草陰から顔を出した三人は私とキルアをみて固まった。…って!!待て待て、まさか私のターゲットがこんなところで見つかるなんて!自分からホイホイ捕まりにきてくれるなんてなんていい子なんだ。棚からぼたもちとはまさにこのことだな。
「バカかお前あんなガキとヒョロッちいのまでオレ達がいなきゃ怖くて戦えねーのか!!」
「ち 違うよアモ兄ちゃん 子供は痛めつけたらかわいそうだしヒョロッちいのは綺麗な顔してるから痛めつけるなんて気が引けたんだ。寝てるスキにでも盗んであげようかと思ってさ」
おい待て誰がヒョロッちいのだ。
「うそつけこの…」
「わかった わかったよ兄ちゃん達がそんなん言うならしかたないぜ やってやるよ」
私たちをずっと尾け回していたらしい男がこっちに向かって歩いてくる。なんだこの男、自ら捕まりにくるとかすごいな。ゴキブリでもまだ頭使うぞ。
「レン、ヒョロッちいのだってよ ナメられてるぜ?」
「キルアだって子供って言われてるぞ?おもちゃ渡されてもついて行っちゃダメだからな」
「残念だったな オレそんなのに興味ねーから」
ふふん、とちょっと誇らしげに鼻を高くするキルアはとても可愛かった。
そういうところがまだ子供なんだけどな、と思ったがそれは胸の内にしまっておいた。
そんな事を考えてる内に私たちの真ん前に男が立った。あまりに弱そうなんで思わず欠伸をしたら男が私に殴りかかってきていた。ううむ、なんだこのノロノロパンチは。やべ、また欠伸出た。