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「あーあ 逃しちゃったよ」

「嘘つけ お前面白がってわざと逃しただろ」

「あ バレた?」

槍のおっさんにトドメを刺そうとしたギタラクルだったが、どうしたことかヒソカと戦いたいと命乞いに似たものをされて逃したのだ。
しかしなぜヒソカとの戦いに拘るのかがわからないが…。恨みでもあるのか。

「どうすんだよプレート。取りに行かなきゃ」

「うん だから追いかけるよ 行こう」

「はいはい」

槍のおっさんが通っていった道を辿ると前方に嫌な気配を感じた。ま、まさか…

「ヒソカ なぜ攻撃してこない!!」

や、やっぱり!ヒソカと戦いたいとは言ってたけど私達と別れた瞬間ヒソカを見つけるとかなんという強運の持ち主だ、槍のおっさんよ。

「このままよけてればキミは勝手に死ぬから◆ おびただしい好血蝶の数がキミの傷の深さを物語っている◇」

「……く」

「すでに誰かから致命傷を負わされてるんだろ?最期まで戦士たろうとする意気はわかるけどねェ◆」

「貴様…そこまで理解していながらそれでもなお私と戦ってはくれぬのか!!!」

「ボクさぁ…死人に興味ないんだよね◇キミもう死んでるよ 目が◆」

ヒソカでもあんな冷めた目をするんだ、と内心少し驚いた。変態で何を考えているのかわからないようなニヤニヤ顔を浮かべている顔しか記憶にないから余計だ。

「ヒソカってあんな顔もするんだな」

「?普通にするよ レンは気に入られてるからあんな顔されたことないと思うけど」

「あんな顔はされたくないと言うか、される筋合いもないが別段好かれたくもないな…」

「ヒソカはしつこいからね 覚悟しておいた方がいいよ」

「うわ…なんとなくわかってたけど聞きたくなかった」

嫌なことを聞いてしまった。槍のおっさんとヒソカの行方を見守っているとギタラクルが何本もの針を出しておっさんに向かってそれを投げていた。

スパァン!!

ドォ…

顔面にギタラクルの持っていた大量の針がぶっ刺さり、槍のおっさんは儚くも命を散らせてしまった。しかしグロテスクな殺し方だな…。

「なんだよ、結局お前が殺すのか」

「うん」

「おや レンじゃないか☆ボクに会いに来てくれたのかい?」

「ふざけたこと抜かすんじゃねー。成り行きだ」

「じゃあボク達がこうして出会えたのはやっぱり運命だね◆」

相変わらずなヒソカにため息をつく。通常運転だ。

「それでコレはどういうことかな」

ヒソカは顔面に大量の針が刺さったまま絶命する槍のおっさんを指差してにっこりとギタラクルを見つめて笑った。

「ゴメンゴメン油断してて逃しちゃったよ」

「ウソばっかり◆どうせこいつに”死にゆくオレの最期の願いを”とか泣きつかれたんだろ?どうでもいい敵に情けをかけるのやめなよ☆」

「だってさーかわいそうだったから どうせ本当に死ぬ人だし ヒソカだってたまにやるだろ。相手にとどめささないで帰っちゃったりさ」

「ボクはちゃんと相手を選ぶよ◆今殺すにはもったいない人だけ生かすわけ◇」

「おい 今なんでおれを見た。言っとくがお前におれは殺せねェぞ」

「クククッ!怖いねェ キミがあまりにも美味しそうだからつい目が、ね★」

「なんか”美味しそう”とか聞こえちゃいけないような単語が聞こえた気がするけど気のせいか」

「ウンウン 気のせいだよ。さぁレン、遠慮しないでボクの胸に飛び込んでおいで」

「面白いから飛び込んでみたら?」

「ふざけんな!お前おれを殺す気かギタラクル!」

パッと腕を広げてにこやかに私を見つめるヒソカは何というか、気持ち悪い。それをすぐそばで見ながらとんでもないことを言ったギタラクルをぺしっと叩く。誰がヒソカの胸に飛び込むか。自殺行為だ。
私は腕を広げるヒソカを無視して適当な岩に腰掛けた。

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