03
 
確かに旅行がしたいとは言ったが一体私はどこまで飛ばされたのだろうかと考えていると、私たちの横をスケボーに乗った銀髪の少年が通り過ぎた。お、髪の色がほぼ私と同じだから何か親近感が…。

「おいガキ 汚ねーぞ そりゃ反則じゃねーかオイ!!」

「何で?」

「何でっておま…こりゃ持久力のテストなんだぞ」

「違うよ試験官はついて来いって言っただけだもん。そうだよね レン」

「うん。誰も持久力のテストだなんて一言も言ってないよ 第一こんなの持久力のテストの内にも入らないしね」

「ゴン!レン!!てめーらどっちの味方だ!?」

「味方も何も本当のこと言っただけ」

「てめー本当に頭にくるヤツだな!!顔がいいからって!お前みてーな女にモテそうなやつは敵だ、敵!」

「どなるな体力を消耗するぞ 何よりまずうるさい。それとお前がモテないからってレンに八つ当たりをするな みっともないぞ」

「〜〜〜っ!!」

クラピカの正論にぐうの音も出ないレオリオに思わず笑いがこみ上げそうになる。クラピカのおかげで少しスカッとした。そして何より全くもって私が女だとバレてないことが少し面白かった。

「ねェ君 年いくつ?」

「もうすぐ12歳!」

「ふーん あんたは?」

「おれ?おれは17だったかな」

銀髪スケボー少年に年齢を聞かれた私とゴン。その回答に少し考えるような素ぶりをして銀髪少年はスケボーから降りた。

「やっぱオレも走ろっと オレ キルア」

「オレはゴン」

「おれはレン」

「レンか、お前さっきトンパにジュースぶっかけてたやつだろ?」

「ああ、あれね」

「あの時のトンパの顔面白かったぜ あんだけあいつがビビってんの見るとお前相当強いんだろ?」

「さあ、どうだろうね。まぁおれ悪魔の実の能力者だしそれなりには強いんじゃない?」

キルアに問いかけられて私は適当に答えた。手配書も出回っているはずだし、自分で言うのも何だがそれなりに有名だからバレるのも時間の問題かもしれない。

「悪魔の実?何だそれ」

「は?知らないのキルア 悪魔の実ってのはあの有名な食べると特殊能力がつく果物だよ」

「そんなのはじめて聞いたぜ 知ってたか?ゴン」

「オレも知らなかったよ」

未だに悪魔の実を知らない人間がいるとは正直驚いた。きっと二人は田舎出身なのだろう。
そうしてかれこれ走り続けておよそ3時間が経った。

「まだこんなトロトロ走らなきゃ駄目なの?もっとスピード上げて終わらせてくれればいいのに」

「すごいねレン!レンがこんなに運動できるとは思わなかったよ」

「息一つ乱れてねーのな。ま、オレもだけど」

「褒め言葉として受け取っておくよ。キルアもゴンも凄いな」

よしよしと二人の頭を撫でるとゴンは嬉しそうに笑い、キルアの方は恥ずかしいのか子供扱いすんな!と怒られてしまった。耳が赤いから全然怖くも何ともないのだが。

正反対の二人を見ていると後ろにあった気配が一つなくなっていることに気づき私は後ろを振り返った。

「レン?あ、レオリオ!」

「ほっとけよ 遊びじゃないんだぜゴン」

私が後ろを向いてレオリオが立ち止まっていることに気づいたゴンは駆け寄ろうとするがそれをキルアに止められた。

正直この程度でへばっていてはフォローのしようもない。助けようと思えばいくらでもできるが私はまだレオリオの目が死んでいないのを確認して走り出した。

「ざけんなよ 絶対ハンターになったるんじゃーー!!くそったらァ〜〜!!」

無事に復活したレオリオに安堵の笑みを浮かべるゴン。私達は再び試験官、サトツの後をついて走った。

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