05
 
「それであの気持ち悪い男誰?」

「気持ち悪い男?」

「ほら、さっきトランプ投げてたやつだよ」

「ああ、ヒソカか」

「ヒソカって言うんだ…」

「あいつには気をつけた方がいいぜ 極力離れていた方がいい」

「確かにおれもそう思う それにあいつ気持ち悪いけど強いだろ」

「ああ、かなり。ゴン、レン、もっと前に行くぞ あいつ殺しをしたくてウズウズしてるから 霧に乗じてかなり殺るぜ オレ達より後ろはヤバイかもな」

再びサトツを追いかけながら私達は湿原を走る。じめじめしてるし足場は悪いし最悪だ。能力で飛べば靴も服も汚れないが二人の手前自分だけそんなずるいことは出来ない。

「って待てよ、後ろの方にレオリオとクラピカいたよな?」

「あ!そうだった、二人が危ないよ!」

「バカかお前ら人の心配してる場合じゃないだろ」

「うん…」

煮え切らない表情で頷いたゴンだがその顔には二人を助けたいという表情がありありと見て取れた。

「二人とも先行ってろ。おれはあいつらの様子見てくる」

「はぁ!?いくらお前が強くても一人じゃ危ねーよ!」

「心配してくれるの?可愛いなキルアは 大丈夫だよ、じゃあ約束しよう また生きて会えたら再会のハグな」

「…っ!べ、別にそんなんじゃねーし ハグもしねーよ(一瞬女に見えた…そんなわけないよな)」

ただでさえ美形で中性的な顔のレンの笑顔は男装時でさえ男女関係なく頬を染める。キルアは一瞬レンが女に見えた事に自分は何を考えているんだと頭を振った。

「レン、気をつけてね!」

「油断すんなよ、相手はヒソカだからな」

「怪物でもピエロでも何でもばっちこいだ!行ってくる」

私はそこで一旦ゴンとキルアと離れ、来た道を逆走した。サトツの姿が見えなくとも私には見聞色の覇気という相手の気配をより強く感じる覇気がある為何の心配もない。


クラピカとレオリオを発見し、私はレオリオに向かって飛んで行くトランプに狙いを定めた。

「”太陽シャムズ”」

ボッ!

消し炭になったトランプに一瞬視線をやるとヒソカは私を見つめて再び気持ち悪い笑顔を浮かべた。

「レン!」

「逃げろレン、お前の手に負える相手ではない!」

レオリオとクラピカが心配そうに私を見つめる。私はそんなに弱く見えるのだろうか。解せん。

「レンって言うんだね◆キミとはヤリあいたいと思ってたけどこんなに早く再会できるなんて嬉しいよ◇」

「気味が悪いから語尾のそれやめてもらえるか ちなみにおれはお前なんかと会ってもこれっぽっちも嬉しくない」

「キミが美味しそうだからついね◇ ”絶”を使ったのかい?全く気配がしなかったから驚いたよ」

「絶?…何だか知らないがこの二人に手を出すのはやめてもらおうか」

美味しそうとか何か聞こえてはいけない単語が聞こえたような気がしたが今は放置だ。気にしたら負けだぞこれは。

「へェ◆なら他の奴らはどうなってもイイって事かな?」

「赤の他人にそこまで気を使ってられないからな」

「ふーん…でもそう言われると余計ヤリたくなっちゃうんだよね ボク★」

ヒソカはレオリオとクラピカの二人に視線をやり、トランプを構えた。私は瞬時に奴の目の前まで移動し、ヒソカの頬に拳をめり込ませる。

割と強めの力で殴ったのだが、倒れずヒソカは殴られた頬をゆっくりと撫でて私を見た。その時の何とも言えないねっとりと全身を舐めるような視線に私はブルリと震えた。何なんだこの寒気は。

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