06
 
「ああ イイ、すごくイイよ!!やっぱりボクの目に狂いはなかった◆」

殴られて嬉しそうに笑うやつを初めて見た。気持ち悪い!何なんだこいつは。一体なにに対してのイイなんだ?
私は生まれて初めて出会う変態マゾ野郎に恐怖とはまた別の感情を抱いた。

「そんなに見つめられると興奮しちゃうじゃないか◆」

「勝手に興奮でもなんでもしてろ そんなに気に入ったんならもう一発殴ってやろうか?」

「ぜひお願いしようかな」

なんだこいつ、生粋のドMなのか?語尾にハートマークをつけながら喋る変態にブルッ!とこれで何度目かの寒気を覚える。

「き、貴様!一体何を考えているんだ!」

「おい、レン!下を見るなよ」

クラピカの動揺する声とレオリオの下を向くなという忠告に一体何なんだとヒソカへ向けた視線をそのままに視線を下にやってしまった。それが悪かった。

「う、うわぁあ!なんだよ、何なんだよお前っ!!気持ち悪い!」

「ん〜 その怯えた瞳もソソるね★食べちゃいたい」

かつてない程の鳥肌に私は目眩がしそうになった。ペロリと唇をなめるヒソカのズボンの股間部分が異様に膨らんでいる。それが何か分からないほどバカじゃない。

だがズボン越しとはいえそんなモノを見てしまった私はあまりの気持ち悪さに叫び、放心した。

「だから見るなっつったのにあのバカ!おいレン!」

「レン!くそっ駄目だ、聞こえていないようだ」

「可愛いなぁ◆くっくっく さて、今の内に判定でもしてようかな」

「判定だと?」

「うん 一次試験があまりにタルいんでさ★選考作業を手伝ってやろうと思ってね◆ボクが君達を判定してやるよ◇」

「判定?くくく バカめ この霧だぜ一度試験官とはぐれたら最後 どこに向かったかわからない本隊を見つけ出すなんて不可能だ!!つまりお前もオレ達もとり残された不合格者なんだよ!!」

「失礼だな◇キミとボクを一緒にするなよ◆」

ヒソカは男の額にトランプを投げるとさらに続けた。

「冥土の土産におぼえときな◆奇術師に不可能はないの★」

「殺人狂め貴様などハンターになる資格なんてねーぜ!」

「2度と試験を受けれないようにしてやる…!!」

自分を取り囲む強面の男達にヒソカはトランプを見つめるとにんまりと微笑んで男達を見据えた。

「そうだなァ〜〜…君達まとめてこれ一枚で十分かな◆」

「ほざけェエーーー!!」

男達の声と同時にザシュッ!シュパッ!と何かを切る音が湿原に響き渡る。ヒソカはどんどんとトランプで男達を斬り殺すと、尚も放心状態のレンに狙いを定めた。

「キミは青い果実か それとも赤く熟れた甘い果実なのか◆」

語尾にハートマークをつけながらレンの首筋にトランプを突きつけようとした瞬間、ヒソカの腕が止まった。

「レン!無事か!?」

「おい大丈夫だろうな!」

クラピカとレオリオの心配そうな声が響く。ヒソカは自分の腕を掴んで止めたレンにゾクゾクと高揚し、恍惚とした表情を浮かべた。

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