07
「はぁ…もう大丈夫。うん。クラピカ、レオリオ!心配かけたな おれならもう大丈夫だ」
「本当に無事なのか?相当ショックを受けていたようだが」
「ったく男のクセにアレみただけで気絶するなんてお前な…まぁ無事で何よりだ!」
クラピカとレオリオに安否を伝えてからヒソカに目を移すと奴はこの上なく気持ちの悪い顔で私を見ていた。思わず掴んでいたヒソカの腕を離した。
「っ!(大丈夫とは言ったものの、気持ち悪い!気持ち悪すぎる)」
「あれ、もう離しちゃうのかい?寂しいな ボク達の仲だろう?もっと触れてくれてイイのに☆」
「何がボク達の仲だ!気持ち悪い!死ね!」
「残念★キミを壊すまでは死ねないかな」
「お前最っ高に気持ち悪い野郎だな、この変態ピエロ!」
「褒め言葉として受け取っておくよ あとボク、ピエロじゃなくて奇術師ね◆」
至極どうでもいい情報を右から左に受け流してヒソカから距離を取った。ぶっ飛ばすにもあいつを殴らなきゃいけないのが気持ち悪くて悩む。何せあいつ、殴られて嬉しそうに笑ってたからな。気持ち悪くて殴りたくないというのが本音だ。
「残りは君達3人だけ◆レンは文句なしの合格だよ」
合格とは一体なんのことだ?
「今だ!!」
その掛け声と同時にクラピカとレオリオ、そして見知らぬ男3人が一斉に違う方向へと走って行く。
「レン!早くこちらに来い!」
「オレの方でもクラピカの方でもいいからさっさと来いよ!」
「お前らいきなりそんなこと言われてもな…!」
「なるほど好判断だ◇ごほうびに10秒待ってやるよ☆そうそう、レンはキミ達の所へは行かせないからね◆」
私の方に向かって歩いてくる変態に心の中で悲鳴をあげる。いつもならすぐに撒いてどうにでもできるのに相手が究極の変態ということとはじめて出会うタイプの変態だけに私の身体は自由に動かない。
くそっ!私が変態苦手だなんて自分でも今まで知らなかった。
「うんうん いい子だ★」
「ひぇっ」
スルリと腰に手を回してきたヒソカに抑えていた声が漏れる。今、尻をやんわり撫でられたぞ!?おかしい、これはおかしい。私は今男装していて男にしか見えないはず。それなのにコイツ一体どういうつもりだ?
「そのまま大人しくしててね じゃないと間違えてキミのお友達を殺しちゃうかもしれないからさ◆」
「殺せるモンなら殺してみろ その前におれがお前を殺してるけどな」
「怖い怖い でもキミ恐怖で動けないみたいだけど?」
「恐怖でなわけないだろう お前が気持ち悪いからだ。おれはお前みたいな変態が苦手なんだ 理解していただけたか?」
一瞬私とヒソカの間に沈黙が訪れた。何を、と思いチラリとヒソカの顔色を伺おうと顔を上に上げるとおでこにチュッと何か柔らかいものが当たった。
「……っ!!き、…きもちわる…い(だめだ…気持ち悪すぎて、意識が…)」
「おやおや◆キミには少し刺激が強かったかな?」
柔らかいものの正体がヒソカの唇だと理解したレンは再び意識を失い、フラッと傾きかける。それを難なく抱き留めたヒソカはあのにんまりとした笑みを浮かべて気を失ったレンを舐めるように見つめた。