08
「ロー!よかった、ケガはない!?」
「ねェよ。それよりお前、さっきの光は……」
言いかけて止まったローにどうしたのかと顔を覗き込む。ローは黙ったままじっと私を見つめていた。
「ロー?私何かついてる?」
「いや、なんでもねェ。その格好じゃ寒いだろ、着てろ」
バサッ
「わっぷ!これローの上着…ローこそこれ着てないと寒いんじゃ」
「別に寒くねェよ。いいから着てろ。風邪でも引かれたら面倒だ」
「えへへ〜!じゃあお言葉に甘えて着るね、ありがとロー!」
ローは不器用だけど誰よりも私の心配をして優しくしてくれる。そんなローに居ても立っても居られずに私はぴょんっと飛び跳ねるとローに抱きついた。こんなにも強くて優しくてかっこいい幼馴染なんて他にいない。
「この上着ローの匂いする!えへへ、私ローの匂い好きだな。守られてるみたい」
「そりゃよかったな」
ローはその一言を言うのがやっとだった。後ろから抱きついている所謂美女と言われる幼馴染。そんなサラに抱きつかれ更に殺し文句を言われたローは帽子で顔を隠しながら硬く目を閉じた。
「あれ?ロー、ローあっちから何かくる」
「あそこ誰かいるぞ!!」
「………麦わら屋」
「あっ!あの人確か」
「あれ〜〜!!?お前は〜〜っ!!!」
あのヒゲにワニの脚は確か茶ひげさん。茶ひげさんに乗っているのは頂上戦争の時に助けたルフィさんだった。他にも誰か乗っているけど名前がわからない。
「おーい!!お前じゃんかー!!おれだよおれ〜〜!!あん時ゃありがとなー!!!」
「ロー、あれルフィさんだよね?」
「そうだな」
「こんなトコで会えるとは思わなかった よかった!!あん時ゃ本当にありがとう!!あれ?喋るくまは?それよりお前!なんで羽生えてんだ!?」
「え、私!?えっと…て、天使だからです!」
「へーそーか!お前天使なのか、すげェな!!空島から来たのか?」
「空島?ごめんなさい私若様に拾われて、じゃない。いつの間にか人に拾われてたんで記憶が曖昧なんです」
「へーお前変なヤツだなー」
「ヨホホホ!可愛いらしい天使のお嬢さんですね。パンツ見せてもらっても」
「ってお前はやめろォオオオ!!ほら見ろ、あの男すげェ目で睨んでるじゃねェか!」
「うふふ、あの子のこと好きなんじゃないかしら」
「なるほど!片思いというやつですね、いや若いっていいですねーヨホホホ!」
「どうでもいいがルフィのやつ早速興味示してあっち行ったぞ」
茶ひげさんから降りてルフィさんが私とローの方へやって来た。そして私の前までやってくると羽をツンツンと突いた。
「すげェ!ふわふわ羽だ!お前これ一本くれよ!」
「羽?全然いいです」
「よくねェ。悪いが麦わら屋、コイツは羽を抜くと病気になっちまう性質でな。そういう理由で羽はやれねェ」
「え、そうなのか!?じゃあガマンする。病気になったら大変だもんな!」
「え、私別に羽抜いても病気になんてモガッ」
そう言いかけてローの手に口を塞がれて私は強制的に黙る事になった。
「しかしよく生きてたもんだな麦わら屋 だがあの時の事を恩に感じる必要はねェ。あれはおれの気まぐれ…後はこいつの能力のおかげだ」
「え〜!お前もおれの傷治してくれたのか!?」
「はい!でもローがほとんど治したようなもので」
「それでもありがとう!いやー恩人が増えていくな!」
にししっと笑いながらルフィさんは何度もお礼を言ってくれた。こんなにも感謝されるなんて、治療した甲斐があったと思う。こういう素直な人は好かれるだろうなと思いながら私は向き合って話すローとルフィさんを見ていた。