07
「なんて屈辱!!斬られて息をしているなんて…!!!斬るならば殺せ!!!トラファルガー!!!」
「心ばかりはいっぱしの剣豪か?ーーーよく覚えとけ女海兵…」
斬られてもなおローに強気に向かって行こうとする女海兵さんを見下ろしながらローは冷たい表情で言う。
「弱ェ奴は死に方も選べねェ」
「…!」
「フフフフフッ!!いいかロー、サラ。弱ェ奴は死に方も選べねェ…!!」
「べへへへへー!ドフィの言う通りだ。んねー!」
「えーやだ!私は選びたいなぁ。でも私強くないし…」
「フッフッフッ!安心しろサラ…お前は強くならなくてもおれ達が守ってやるさ」
「そうだんねーサラ、お前は強くなくたってその能力がある。守ってやるから安心しろ〜べへへへ!」
「じゃあローは?ローも守ってくれる?」
「ローは男だ、自分の身は自分で守らせる。できるよなロー?」
「ああ。自分の身は自分で守る。誰かに助けてもらおうなんて思ってない」
「フフフ!いい心構えだ」
まだ私たちが若様の所にいた頃に教えられた言葉。ローも覚えていたんだ。あの頃は私も幼くてよく意味がわかっていなかった。けど今ならその意味がよく分かる。今まさに目の前で繰り広げられているこの状況こそその言葉に相応しいものだと思う。
「………!!!おのれ!!!」
「そんな刀じゃ届かねェ。気に入ったんならもっとキザんでやるよ」
「てめェおれ達の大佐ちゃんを侮辱してんじゃねェよ!!!」
ドドドド!!!
もう一度刀を振り下ろそうとするローに女海兵さんを守るためにそれを見ていた海兵さん達が銃を撃ってくる。ローは表情を変えずに雪と銃弾を入れ替えた。
「わっ銃弾!!?」
「何で銃弾がこっちへ!!?」
「撃った弾はどこいった!?」
「撃った弾はそれだ。そっちの雪と入れ替えたからな」
「無敵かよあんにゃろォ〜〜〜!!!」
「伏せろ!!また全部ブッた斬る気だァ!!!」
「あいつの斬撃は受け止めようがねェ!!大佐ちゃん逃げろォーー!!!」
「………!!」
海兵さん達は為すすべなく女海兵さんに声を掛けることしか出来ない。それに構わずローが刀を振り下ろそうとした時、スモーカーさんの十手がそれを防いだ。
ギィン!!
「うおォーーーー!!!スモやァーーーん!!!」
私の目では見えないほどの早い動きでスモーカーさんがローの背後に回り込む。そして雪の積もった地面にローが叩きつけられ、スモーカーさんの十手がローに迫る。
「ロー!!危ない!」
「…っ!?」
私が叫んだと同時にピカッ!とスモーカーさんとローの周りが光る。その一瞬の隙に今度はローがスモーカーさんの背後に回り込んだ。
「いやなエネルギーを感じる…海楼石だなーーその十手の先…!!」
ギィン!!
「おれは元々お前ら”七武海”を信用しちゃいねェ!!」
「正論かもな」
「ここがお前に必要か?裏に誰かいるな…!?この島で何を企んでる!!!」
「ーーじゃあお前から答えろ!!!お前らは何を企んでる…!!!」
ガギギン!!!
目にも止まらないスピードで刀と十手を交えるローとスモーカーさんに私は祈るように手のひらを合わせた。
「がんばって、ロー」
ボコォン!!
「場所を変えなきゃ…見えねェ景色もあるんだ スモーカー…”メス”」
ボトッ…
「………(心臓を…!!)」
「何一つ…お前に教える義理はねェ…」
スモーカーさんの心臓を抜き取ったローはそれを手に取ると踵を返して正面玄関の方へ向かってくる。私は戦いが終わったローの元へ飛んでいった。