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「海軍G-5中将スモーカーの…心臓」
「………」
「気の利いた土産だ。すでに海軍側に兵は送ってあるが…シュロロロロ これじゃもう勝負は見えてる」
「はぁ…」
「どうしたのサラ。何か悩みでも?」
「ううん。ローの説教に疲れたの」
「うふふ、また説教されたのね」
「少しは大目に見てくれてもいいのにローったら厳しいんだもん」
「それはあなたを想うからこそ厳しいのよ。どうでもいい人に説教なんてしないでしょう?」
「そうなのかな。えへへ、なら嬉しい!ローは私の事を思って言ってくれてるんだ」
「ええそうよ。うふふ!ねぇ、ロー?」
「余計な詮索はするな。お前らと馴れ合うつもりはねェ」
「あら怖いのね」
「ロー、そんな言い方ないでしょ?モネさんは普通に話してるだけなのに」
「いいのよサラ。彼はあなたを守る為に必死なだけなんだから」
「でも…。じゃあローの代わりに私が謝ります。モネさん、ローが怖言い方してごめんなさい」
「サラは素直でいい子ね。でもあなたが謝る必要はないわ」
「お前の為に代わって謝るなんて随分健気だな、ロー。そりゃ手放したくなくなるハズだ!シュロロロロロ!」
「チッめんどくせェ。サラ、余計なことをするな」
「余計な事じゃない!だから勘違いされちゃうんだよ。本当はローは誰よりも優しくて面倒見がいいのに…。私はローを悪く思って欲しくないからやってるの!」
モネさんに謝った事を余計な事をするなと言われてカチンときた私は横に座っているローの肩を掴んで言った。ローが人に悪く思われるのは嫌だ。それも私の為に悪く思われるのはもっと嫌なんだ。そう言うとローは少しだけ眉間にしわを寄せた。また怒ってるのかな。
「本当に面白いのねあなた達。お互い想い合ってるってステキな事よ」
「え?でもロー、また顔が怒ってるのに?」
「それは嬉しいからよ。彼、私達がいる手前顔には出さないようにしているだけできっと喜んでるわ」
「ケッ、バカバカしい。何が想いあってるだ」
これだからガキは…と言ってシッシッと手を振るシーザーさん。今の話でガキとか関係あったのかなという疑問が浮かび上がる。
「今回ばかりはシーザーと同感だ。今はこんな話をしている場合じゃねェ」
「ロー、本当は嬉しかったんだ!なら私も嬉しいな」
「見せつけてくれるわね、サラ。幸せそうで羨ましいわ。どっちから告白したか聞いてもいいかしら」
私とローを見てそう言ったモネさんに私はぽかんと一瞬口を開いて固まってしまった。
「告白?モネさん、私とローは幼馴染ですよ?恋人でもないのに告白だなんて。ローに失礼ですよ」
「………」
「………」
「………」
「あれ?皆さんどうしたんですか」
神妙な顔つきでピシッと固まった3人に少し焦りながら声をかける。するとモネさんが何だか可哀想なものを見るような目でローと私を見ていた。
「シュロロ、想定外だな」
「苦労するわね、あなたも」
「うるせェ」
ローにそう言って声をかけたモネさんやシーザーさんに私の中で謎は深まるばかりだった。