04
「研究所の中から翼の生えた女…!一体どういうことだトラファルガー!!」
「こいつはおれの仲間だ。そしてここはおれの別荘。仲間と一緒にいようが変な話じゃねェだろう?」
バチバチと見えない火花がローとスモーカーさんの間に散る。海軍の人達の視線から逃げていた私は状況を把握するためローの背中からチラリと顔を出した。
ひょこっ
「は!海軍の人がいっぱい…!」
「「「…(か、かわいい!けどバレバレだ!)」」」
ローに隠れて海兵の方を見ていたサラだが当然サラの方から海兵が見えるという事は海兵の方からもサラが見える訳で。それに気づかずバレてないつもりのサラにG-5の海兵たちがほわぁ…っと和もうとしたその時
「きゃあああ」
「恐かったよ〜〜!!氷った人達〜!!!」
「え〜〜〜ん!!」
「でも見てほら!!扉よ!!ここから出れる!!あの子もここにいるはずよ!」
「おれの天使ちゅわ〜ん!!今行くから待っててねェ〜〜!」
研究所の中から聞こえてくる複数の声、複数の足音。ローは何事だとわずかに顔を後ろの方に向ける。
「ロ、ロー!それが大変なの、あの人達が!!私、追いかけられて」
「話が見えねェ。落ち着いて話せ、どうした」
「だからね、研究所の中に知らない人達がいたの!その人達に私追いかけられて…」
「研究所の中に?シーザーの部下じゃねェのか」
私はスモーカーさん達に話が聞こえないように小さな声でローにさっきの事を報告した。ローもそれに合わせて小さな声で話していると突然研究所の扉が勢いよく開いた。
「……!?やっぱり中に誰かいるじゃねェか!!」
「見ろ 何だあの生物!!!」
「ハチャ〜〜〜!!!外だ〜〜!!!」
「外…いや〜〜〜寒〜〜い!!!」
「”麦わらの一味”!!」
「やったぞーーーー!!!」
「建物を出たぞ!!おうちに帰れる!!!」
「パパとママに会える〜〜!!!」
先陣切って扉から出てきたのはさっき見たタヌキさん。その後から寒そうな格好の女の人、大きな子供達にロボットさん、金髪の男の人と生首。続々と研究所の中から出てくる面々にローの顔が険しくなっていく。
「ロー!あの人達だよ、研究所の中で私を追いかけてきたの!」
タヌキさん達のいる方にびしっ!と指をさしながらローにそう言った直後、私の腕が誰かの手によって引っ張られる。驚いて空いてる方の手でローの袖を引っ張るとすぐそばで女の人の声がした。
「あなたさっきこの中にいた子よね?もう大丈夫よ!この子達と一緒に私達が助けてあげる!」
「もう安心していいぞ!どこか病気があるならおれが治してやる!」
オレンジ色の髪をした女の人が私の腕を引きながらそう言う。その横でタヌキさんが何かを勘違いしている。突然のことでうまく口が回らないで黙っているとオレンジ色の髪の女の人が私が掴んでいるものに気づいて顔を上げた。
「あ〜〜!!!あんた見覚えある!!」
「そうだシャボンディにいた奴だぞ!!」
「まさか子供達を閉じ込めてたのあんた!!?この子もあんたが…!年頃の女の子を監禁なんて最低よ!この外道!!この子達もこの子も返さないわよ!!」
「な、何ィ!?監禁だと!おいテメェ何おれの天使を汚してくれてんだ!!」
とんでもない勘違いをしたオレンジの女の人の横から金髪の男の人がローに詰め寄る。殴りかかりそうなその勢いに私は女の人の手を振り払って金髪の男の人の腕を掴んだ。