02

「あ、の!!もう平気ですから降ろして下さって大丈夫ですよ?」

「うーん、でもまだこんなに震えてるのに?」

もう少し甘えてなよ、と綺麗な笑顔を見せてそう言う蒼髪の彼はどうやら私がまだ恐怖で震えていることに気づいていたらしい。かっこいい上に優しいなんてきっとモテるんだろうな。ーーというのは置いておいて、私は周りをもう一度見渡す。重いはずなのになんともないような顔で私を抱える蒼髪さんに周りの生徒がザワザワと騒ぎ始めた。

ーーー実はもう校門を通ったところだったりするのだ。当然こんなにも美形な彼が女子をお姫様抱っこしていれば騒ぎにもなる。物珍しそうな視線が四方八方から突き刺さることに恥ずかしさを感じていた時だった。

「お、おいこれどういう状況だよぃ赤也!」

「え、ええ!!?幸村部長!?なんすかこれ、どういうことなんすか!!!?」

「あれ?丸井と赤也じゃないか。おはよう」

「おはようございますっ!ーーっじゃなくて、なんで女子をお、お姫様抱っこしてるんですか!?」

「女子をお姫様抱っこで登校なんてどうしたんだよぃ幸村くん」

「ふふっ、どうしてか知りたい?」

「知りたいっす!!」

そうだな…と少し沈黙してから幸村くんと呼ばれた彼は考えるような仕草をしてから、花もきらめく様な笑顔を浮かべてこう言った。


「実はこの子、俺のお姫様なんだ」


幸村くんと言う人がそう言うと周りの生徒がまるで石像になったかの様に動きを止めた。彼の知り合いらしき黒髪の男の子と赤い髪の男の子は驚きすぎて開いた口が塞がらいようで。かく言う私も何がどういうことになっているのか、と幸村くんを見上げた。

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