03

「えっ…と、じゃああの…その人は部長の彼女…、なんすか?」

「は…?マジかよぃ…あの幸村くんが?」

「はははっ、ごめん今のは嘘。実は、登校中にちょっとしたトラブルに巻き込まれてね」

「なんだそういうことだったんすか〜!俺一瞬マジの彼女かと思っちゃいましたよ!」

「幸村くんも人が悪いよな!サラッと涼しい顔でお姫様なんて言えば誰だって勘違いするぜぃ!」

ごめんごめん、と上品に笑いながら幸村くんがお姫様発言を訂正したのと同時に幸村くんのお友達二人の視線が私に突き刺さった。

「ってうわ…!この人めちゃくちゃ可愛いじゃないっすか!」

「マジじゃん!すんげェ美人!天使かよぃ」

かなり興奮した様子で私を見て可愛いやら美人やらという二人に思わず顔に熱が集まる。お世辞でもそんなことを言われればやっぱり照れるのはしょうがないと思う。赤い髪の男の子は丸井ブン太くんというそうで、丸井くんは幸村くんにお姫様抱っこされている私の視線に合わせる様に少し屈むと名前を尋ねてきた。

「あっえっと名前は跡部瑠衣です!高校2年生です、よろしくお願いします…!」

「おう、シクヨロ!!………って、は?跡部…?」

「跡部って…いやいやいやまっさかー!考えすぎっすよ丸井先輩!!」

「?」

「ほら、二人とも跡部さんが困ってるじゃないか」

「そ、そうだよな!跡部なんつー名字が特別珍しいってわけじゃねーし!んじゃ改めてシクヨロ!」

「俺も俺も!あ、高2ってことは先輩っすよね。俺、1年の切原赤也って言います!赤也って呼んでください!」

「ふふ、二人に先越されちゃった。俺は幸村精市。跡部さんと同じ2年だよ、これからよろしくね」

「…!うん!よろしくね…!」

早速友達ができて嬉しくて、にへっと笑えば丸井くんと赤也くんが揃って顔を背けてお互い肩を組み合い、プルプルと震えている。私は何かしてしまったのかなと幸村くんを見上げれば彼は相変わらず穏やかな笑みを湛えているだけで、私は余計に首を傾げた。

(や、やばい、あの笑顔はヤバイっすよね丸井先輩!!!)
(お、おう。危うくチューしちゃうとこだったぜぃ)
(二人とも楽しそうな話してるね?俺も混ぜてよ)
(幸村くん、顔!顔怖ェよい!!)
(ひぃい!部長その顔やめてくださいっす!)

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