03
「あ、黄瀬君と梨花さん来ましたよ」
「おー。おせーよお前ら。待ちくたびれた」
「もー大ちゃんったらそんなこと言って!梨花ちゃんが来るまでソワソワしてたの言っちゃうよ?」
「べ、別にソワソワなんてしてねーよ!!」
「フン、どもるとこからして怪しいのだよ」
「やっと来たー。梨花ちんの席ここね〜。俺と赤ちんの隣」
「やあ梨花。待っていたよ」
黄瀬の後ろについて行くと行き先は何故か屋上で、扉の向こうにはそれはカラフルな頭をした集団がいた。水色、青、ピンク、緑、紫、赤、そして前を歩く黄色。おかしい。全員日本人のはずなのになぜこうも奇抜な頭の色をしているのか。ちなみに私は茶髪だった。地毛かどうか判断できないが。
「何してんの梨花ちん。はやく座りなよ」
「え?ああ、うん。」
座っていて気づかなかったがこの紫の髪の男の子、めちゃくちゃでかい。紫の男の子に手を引かれて私は赤い髪の男の子と紫の間に座った。
「よーし飯食うか!!」
「わーい。赤ちん、お弁当食べたらお菓子食べていい?」
「ああ、ほどほどにな」
まるで私がここにいるのが当たり前かのように振る舞う彼らに私はどうしていいのかわからなかった。彼らは私のことを知っているだろうか?私は彼らの事など何一つ知らないのに。正直にあなた達は誰ですか?とも聞きにくい。またそれでいじめにでもあったらどうしようという感情が湧いて来る。
「おい梨花、さっきから黙ってどうしたんだよ?下痢か?」
「青峰君、下品です」
「大ちゃん最低ー。信じられない!梨花ちゃんから半径3メートル離れて」
「いや、下痢じゃないんだ。心配かけたね。えっと、大ちゃん、?」
名前が分からない。ピンクの髪の女の子がたしか大ちゃんと呼んでいたなと思い出して真似してそう言えば、大ちゃんとやらはポカンと間の抜けた表情をしていた。そしてどういうわけかこの場にいる全員の視線を感じる。何かおかしなことでも言っただろうか?
「梨花っちやっぱおかしいっスよ!だってあの梨花っちがさっき俺のことかっこいいって言ったんスよ!?」
「えっ!きーちゃんそれ本当?」
「黄瀬君、なにふざけてるんですか。梨花さんがそんなこと言うはずかないでしょう」
「何を言いだすかと思えば…。お前の妄想には付き合ってられないのだよ」
「黄瀬ちん大丈夫〜?梨花ちんがそんな事言うわけないし」
「なんで誰も信じてくれないんスか!ひどいっスよ!ね、梨花っちさっき俺のことかっこいいって言ったッスよね!?」
「うん、言った。だって本当の事だし。それに黄瀬だけじゃないよ、君たちも随分綺麗な顔してるよね。」