過去拍手【沖田4】
見上げた先に広がるのは、宝石箱をひっくりかえしたような満点の星空。
ではなく、どんよりと暗く雲が立ち込めた灰色の空だった。
「なんで七夕の日に限って晴れないのかなぁ」
写真を撮るために手に持ったケータイを下ろし、私は溜息をつく。
毎年曇天ばかり見ているような気がする。テラスにもたれながら愚痴れば、横からすぐさま茶々が入る。
「君が雨女だからじゃない?」
「ちがうし!」
「じゃあ何で君が出かけようって言った日に限って雨が降るわけ?」
「そ、それは…」
「ついでに、君最近仕事ばっかりで僕との約束みごとに全部すっぽかしてくれたよね?」
「…えーと」
反論に事実を突きつけられ、しかも痛いところをつかれて思わず目が泳いだ。目の端にちらりと映った笑顔がこわい。
「それは、私以外に代われる人がいなくて仕方なく…」
「へぇ。仕方なく、ね」
ひとかけらも納得していない視線が私を容赦なく串刺しにする。
かなりご立腹だ。これは下手な言い訳はできないぞ。
内心だらだらと冷や汗を流していると、急に横から伸びてきた手が私のケータイをさらっていく。
「あ」
そしておもむろに電源を落とした。
「え、ちょちょちょなんで電源落とすの!?」
「邪魔な電話がかかってこないように」
真っ暗になったケータイの画面を私の目の前にかざし、総司はにっこりと笑う。
前かがみになってこちらを至近距離からのぞきこんでくる顔に、どきりとした。
「ねぇ」
「…なに」
「さっきの君の言葉への答えだけどさ」
「うん」
「きっと織姫も彦星も邪魔されたくなかったんじゃないかな?」
「だから七夕はいつも曇ってる?」
「そう」
顔がどんどん近づく。
「人の目のあるところで、したい?」
頬をするりと撫で上げる指に、私は真っ赤になった。
「するかっ!!!!」
「じゃ、続きはベッドでね」
からかわれたのは少し悔しかったけど、そう考えると確かに曇りの七夕も悪くはないと思えた。
窓には分厚い雲のように、ぴったりとカーテンを引いて、ね。
過去拍手【沖田4】
見上げた先に広がるのは、宝石箱をひっくりかえしたような満点の星空。
ではなく、どんよりと暗く雲が立ち込めた灰色の空だった。
「なんで七夕の日に限って晴れないのかなぁ」
写真を撮るために手に持ったケータイを下ろし、私は溜息をつく。
毎年曇天ばかり見ているような気がする。テラスにもたれながら愚痴れば、横からすぐさま茶々が入る。
「君が雨女だからじゃない?」
「ちがうし!」
「じゃあ何で君が出かけようって言った日に限って雨が降るわけ?」
「そ、それは…」
「ついでに、君最近仕事ばっかりで僕との約束みごとに全部すっぽかしてくれたよね?」
「…えーと」
反論に事実を突きつけられ、しかも痛いところをつかれて思わず目が泳いだ。目の端にちらりと映った笑顔がこわい。
「それは、私以外に代われる人がいなくて仕方なく…」
「へぇ。仕方なく、ね」
ひとかけらも納得していない視線が私を容赦なく串刺しにする。
かなりご立腹だ。これは下手な言い訳はできないぞ。
内心だらだらと冷や汗を流していると、急に横から伸びてきた手が私のケータイをさらっていく。
「あ」
そしておもむろに電源を落とした。
「え、ちょちょちょなんで電源落とすの!?」
「邪魔な電話がかかってこないように」
真っ暗になったケータイの画面を私の目の前にかざし、総司はにっこりと笑う。
前かがみになってこちらを至近距離からのぞきこんでくる顔に、どきりとした。
「ねぇ」
「…なに」
「さっきの君の言葉への答えだけどさ」
「うん」
「きっと織姫も彦星も邪魔されたくなかったんじゃないかな?」
「だから七夕はいつも曇ってる?」
「そう」
顔がどんどん近づく。
「人の目のあるところで、したい?」
頬をするりと撫で上げる指に、私は真っ赤になった。
「するかっ!!!!」
「じゃ、続きはベッドでね」
からかわれたのは少し悔しかったけど、そう考えると確かに曇りの七夕も悪くはないと思えた。
窓には分厚い雲のように、ぴったりとカーテンを引いて、ね。