「型が出来たんだな」
「やっと出来た。待たせたな」
山に入り、鱗滝と錆兎と義勇が後ろから着いてくる。
「よーく見とけよぉ…!」
ブースト状態に入り、私は強く地面を蹴った。
刀を何度も振り被った。
斬りつけられた場所は刀で切ったとは思えない程抉れている。
衝撃で回りの木々が倒れる、それすら喰うように私は刀を振り回した。
周りが落ち着く頃には私の半径一メートル以内だけが空っぽで、それ以外はまあまあな惨状になっていた。
「…よくやった!最終選別に行っていいだろう」
「よっしゃー!」
人に褒められるというのはこんなにも嬉しいと私は初めて思った。
前世で褒められたことなど一度もない。
そもそも私達は期待すらされずただの駒で、ただの殺戮人形だったのだ。
それが今ではこの様だ。
お気に入りが出来て、褒められて喜び、自分がこの生活の中で人間になっていくのを感じた。
鱗滝に頭を撫でられ、久しぶりに涙が出た。
「泣くなよ!」
「大丈夫か?」
鱗滝は慌て、錆兎と義勇が声を掛けてくる。
初めて私を受け入れる父親のような姿を鱗滝の中に見た。
それは安心感でもあり、過去の自分が消えていく寂しさを感じることでもあった。