鬼殺隊にしがみつく理由はなんてないのに何をそんな必死になっているんだと思われているだろう。
肉親を殺された訳でもないのに。
それは私も思う。
私には殺ししかないからだ、という理由はある。
ただ最近はそれだけじゃないような気もする。
自分が自分じゃないような、今までの自分じゃ考えられないような偽善的な思考が働いている気がする。
「まだ辞めてなかったのか」
「…暇なの?」
もう何度目の蝶屋敷だろうか。
その日私は昏睡状態から目覚めたらしい。
ベッドに寝かされて、左腕には点滴が刺さっていた。
足がうまく動かないことから、かなり長い時間横になっていたんだろう。
義勇の声は不機嫌そうだった。
また嫌味か、と溜息をついた。
「また無茶をしたと聞いた」
今回はカナエさんとの任務だった。
特に守るべきものもない、残すものもない私は当然のように鬼に特攻して行った。
花柱には待ちなさいと言われた気もするがそこは善は急げ、足が止まらなかった。
鬼サイドも人間が無茶な攻撃をしてくるとは予想していなかったらしく、動揺しているのを肌で感じた。
トドメを刺すのは任せていたから私はただ鬼を痛ぶり、攻撃を受け、私に注意を引き付けた。
そのうちにカナエさんが頸を斬ってくれたらしいがそこからはよく覚えていない。
「辞めないのなら足の骨を折るぞ」
「どうぞ」
「……」
義勇は驚くこともなく、澄ました顔をしたままだ。
ベッドから降りて、義勇の隣に立った。
ふらつくことはなかった。
義勇の顔を見るためにはもう見上げないといけなくて、成長したんだなあとかそんなことを思った。
足は肉が抉られていて、とても綺麗な足とは言えない。
前生きていた時よりも無茶はしていると思う。
出夢も理澄もいない人生は、長く生きようとかそういう思考が生まれないのだ。
窓枠に足を引っ掛けて、彼が折りやすいようにセットしてやった。
「足を折れば私が言う事を聞くとでも思っているの?」
「…お前は遠くに行ってしまうだろう」
「義勇よりは早く死ぬだろうね」
「…」
「私が納得して生きる人生を認めてよ」
義勇は今度こそ驚いた顔をした。
そのまま何か考えているようだ。
「私もう寝るから、足でも何でも折りたかったら勝手にして。別に責めないし」
布団に入り直しても義勇はそのまま突っ立って私を見ていた。
全身が痛むのは変わらない。
足の抉れているところは痛いし、鬼の攻撃が貫通した脇腹だって非常に痛い。
体力がなくなっているのか、そのまま睡魔に襲われて眠ってしまった。
目覚めると義勇はもういなくて、代わりに洋菓子が枕元に供えられていた。