蝶屋敷で療養中に1人の女の子が胡蝶姉妹に拾われてきた。
胡蝶姉妹がいない間はその子の世話を見ることになった。
「変なこと教えないでくださいね」
「信用無いな!」
しのぶにそう釘を刺されたが、変なことを教えるつもりはないんだけれど……
このカナヲちゃんはとにかく主張がなかった。
何も発さないのだ。
何も知らないのなら、今はとりあえず吸収する時期なのだろう。
折り紙の折り方から、この時代の遊びまでとりあえず一緒にやった。
楽しんでくれているかは分からないけれど、最後まで付き合ってくれた。
私に着いてくる様が妹のようで懐かしくもなる。
小さい脚で私に着いてくるのがいじらしい。
「カナヲちゃん」
「……」
「君の思いは君だけのものなんだぜ」
「……」
「ま、いつか分かるようになればいいか」
縁側に横になった私の言葉を聞いてもカナヲちゃんは表情一つすら動かさない。
大人しく一緒に横になって、抵抗もなく髪を触らせてくれている。
そうしているうちに睡魔が襲って来て眠ってしまった。
カナヲちゃんとお菓子を盗んで怒られたりしている内にもう復帰の日が来てしまった。
相変わらず私物は蝶屋敷の倉庫の一角に置かせてもらっているが、そろそろ家を買うなどしないといけないな……
「お世話になりました!また来ます」
「あまり無理はしないでくださいね」
「もう来ないで下さい」
「しのぶ酷すぎる!絶対来ますからね絶対」
胡蝶姉妹の隣で私をじっと見るカナヲちゃんに目線を合わせる。
「カナヲちゃんもお元気で。また一緒に遊ぼうね」
「……」
「詩澄さん、そういえば答えは出ましたか?」
カナヲちゃんの頭を撫でる私に、カナエさんが問いかけた。
「……あー、はい。まだまとまってないんですけど」
「じゃあまた今度聞かせてくださいね」
「はい、ちゃんと言葉にしておきます」
立ち上がってカナエさんを見ると何時ものように微笑んでいた。
しのぶは?を頭の上に浮かべていた。
「じゃあ、また」
生きて会えるかは分からないですけど。
また今度。